大分県議会 > 2022-12-06 >
12月06日-03号

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  1. 大分県議会 2022-12-06
    12月06日-03号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    令和 4年 第4回定例会(12月)     令和4年第4回大分県議会定例会会議録(第3号)令和4年12月6日(火曜日)  -------------------------------議事日程第3号            令和4年12月6日              午前10時開議第1 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 40名  議長        御手洗吉生  副議長       古手川正治            井上伸史            吉竹 悟            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            麻生栄作            三浦正臣            嶋 幸一            元吉俊博            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            小川克己欠席議員 3名            志村 学            高橋 肇            末宗秀雄  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       吉田一生  教育長       岡本天津男  代表監査委員    長谷尾雅通  総務部長      若林 拓  企画振興部長    大塚 浩  企業局長      磯田 健  病院局長      井上敏郎  警察本部長     種田英明  福祉保健部長    山田雅文  生活環境部長    高橋 強  商工観光労働部長  利光秀方  農林水産部長    佐藤 章  土木建築部長    島津惠造  会計管理者兼会計管理局長            廣末 隆  防災局長      岡本文雄  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 後藤 豊  労働委員会事務局長 田邉隆司  -------------------------------     午前10時 開議 ○古手川正治副議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- ○古手川正治副議長 本日の議事は、議事日程第3号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑 ○古手川正治副議長 日程第1、第102号議案から第117号議案まで並びに第5号報告及び第6号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。尾島保彦君。  〔尾島議員登壇〕(拍手) ◆尾島保彦議員 皆さんおはようございます。県民クラブの尾島保彦です。今日は質問の機会を与えていただき感謝します。4項目について質問するので、どうぞよろしくお願いします。 まず最初に、人口減少対策についてです。 令和2年3月改定の大分県人口ビジョンによると、大分県の人口は緩やかな減少が続いており、令和元年時点で約113万4千人となっています。 出生数に目を向けると、平成25年は9,605人でしたが、平成30年は8,200人、令和2年には7,582人、令和3年は7,327人と減少傾向が続いており、令和3年の合計特殊出生率は1.54となっています。コロナ禍の影響もあるのだろうと考えられますが、大分県まち・ひと・しごと創生本部会議の資料(令和4年6月1日時点)によると、令和4年度大分県人口ビジョン目標出生数8,366人に対し、推計出生数は7,032人で、目標数を1,334人下回る見込みとなっています。 一方、社会増減は令和2年が2,783人の減、そして、令和3年が2,335人の減、令和4年は入国制限の緩和によって留学生や技能実習生といった外国人が増加し、357人の増加と見込まれており、令和4年10月1日段階での推計人口は目標の111万852人に対し、4,852人未達成の110万6千人となっています。 本県の人口の将来展望については、2025年に出生数9千人、合計特殊出生率1.83及び社会増減の均衡を目指していますが、現状に鑑みて、今後本県の人口減少に歯止めをかけるための取組をどのように加速していくのか、知事に考えを伺います。 以下、対面席で質問します。  〔尾島議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○古手川正治副議長 ただいまの尾島保彦君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 尾島保彦議員から、人口減少対策という大変難しい課題について質問いただきました。 最新の人口の動きを見てみると、本年10月1日現在の人口推計ですが、110万6,294人と前年から7,455人減少しました。その内訳を見ると、自然増減、社会増減で、議員御指摘のとおり、大きく異なっています。 まず、自然増減は8,848人の減と過去最多の減少となりました。これまで続いていた婚姻数の減少や若年女性の県外流出に、さらにコロナ禍が拍車をかけ、出生数が大きく減少したことが主な原因と考えます。 合計特殊出生率は全国上位を維持しているものの、今後の出生数の増加に向けては、特に婚姻数の増加が大事です。今や137組の成婚につながった出会いサポートセンターの取組を強化するとともに、引き続き結婚、妊娠、出産、子育てに至るまで切れ目のない支援に取り組んでいきます。あわせて、若年女性が住んでみたい、住んでよかったと思えるような魅力ある大分県づくりにも力を入れていきます。 また、男性全国1位、女性4位まで躍進した健康寿命の延伸も重要です。高齢者の通いの場の充実や企業ぐるみの健康づくりに引き続き取り組んでいきます。 自然減の大きな流れを変えることはなかなか容易ではなく、息の長い取組が必要です。今後とも自然増対策を粘り強く進めていきます。 一方で、社会増減は1,393人の増と実に15年ぶりの社会増となりました。しかも、この転入超過数は人口推計を開始した昭和56年以降、過去最多です。 これまでの地方創生の取組に加え、水際対策緩和による外国人の流入もあいまって、大幅な社会増につながったものと考えています。この成果に甘んじることなく、農林水産業の成長産業化とか、中小企業・小規模事業者に対する生産性向上への支援、企業誘致、観光振興などの取組をさらに充実させていきます。 昨年度、過去最多の1,416人を記録した移住施策も、転職なき移住等、時流に乗った取組を強化します。 また、デジタル・トランスフォーメーションを活用した仕事づくりや、ドローン、アバターなど先端技術を活用した新産業の振興も大事です。楽しみなのは宇宙への挑戦です。大人にはビジネスの次なるフロンティアを、子どもにはその先の未来を描いてもらいたいと思っています。 言うまでもなく、急激な少子高齢化・人口減少は地域活力に大きな影響を及ぼします。また、地方のみならず、日本の社会や経済、福祉を縮小させ、ひいては国際社会での日本の存在感を減退させる要因ともなります。 そのため私は、地方創生は大分県からという強い思いを持って、人口減少対策に真っ正面から取り組んできました。未来への道筋を確たるものにすべく、残された任期も人口減少対策に邁進していきます。 ○古手川正治副議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 昨日、二ノ宮議員からも質問が出ていました。その答弁の中で印象に残っているのですが、今日の少子高齢化・人口減少の実態は、長い年月をかけて形成された人口構成に起因している、だから、一朝一夕に解決することはなかなか難しいという答弁がありました。正にそのとおりだと思っています。さきほどの答弁でも、自然減が過去最多を記録した、社会増減は何とか頑張っているわけですが、今後も人口減少は間違いなく続いていくと思います。 大切なことは、やはり以前から知事が言われるように、この人口減少のカーブをいかに緩やかにしていくか、そのことが肝要だろうという気がします。 さきほど様々な取組が紹介されました。婚姻とか、それから、健康づくり、あるいは産業振興、観光振興、そして、これからの先端技術の活用、正にあらゆる手法を総合的に総合力で乗り切っていくことが大変重要ではないかという感じがしました。 知事には、あと残存任期がありますが、引き続いて人口減少に歯止めをかけるべく、魅力ある大分県づくりのために御尽力を賜ればと思っています。 続いて、小規模集落対策について伺います。 住み慣れた地域に住み続けたいという住民の希望をかなえるため、複数集落が連携協力して集落機能を維持していくネットワーク・コミュニティ推進事業は、今や小規模集落にとって不可欠な事業となっています。令和3年度、県下では117地域に125組織のネットワーク・コミュニティが構成され、その構成集落数は1,843集落となっています。中山間地域、周辺地域では、過疎・高齢化が一層深刻化し、ネットワーク・コミュニティの構築の必要性に迫られています。構築の加速化が正に求められているわけです。 また、小規模集落は農村部にも多く存在することから、農林水産省では、複数集落の機能を補完し、農地保全活動や農業を核とした経済活動とあわせて、生活支援等、地域コミュニティの維持に資する取組を行う農村型地域運営組織(農村RMO)形成推進事業を始めています。 そこで質問ですが、現時点でのネットワーク・コミュニティを必要とする集落数と構築すべきネットワーク・コミュニティの数について伺います。 また、今後の早期構築に向けた取組及びそのスケジュール、そして、農村RMOに対する考えについて、あわせて伺います。 ○古手川正治副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 ネットワーク・コミュニティは、小中学校区や旧町村等の単位で、そのエリア内の複数集落が生活機能や集落機能を補い合う取組です。ネットワーク・コミュニティを必要とする集落数や構築すべき数については、地域の実情に応じて異なるため、事前に把握することは難しい。 県では、人口減少が特に進む山村、離島などを中心に、これまでに構築した集落を含め、令和6年度までに2,125集落をカバーするネットワーク・コミュニティ構築を目指しています。そのため、専門家を派遣し、地域で円滑な話合いや計画づくりができるよう、地元自治体と連携しながら支援しています。 農村RMOですが、集落営農など農業者を母体にした組織等がさらに活動の幅を広げ、生活支援活動等にも取り組むものと理解しています。現時点では、まずは個々の集落営農法人等の経営強化に取り組む段階だと考えています。 ○古手川正治副議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。宇佐市では随分早くにネットワーク・コミュニティの基となるまちづくり協議会を発足しています。一番古いところを見ると、平成20年11月に佐田地区でまちづくり協議会、12月には南院内地区で里づくり協議会が発足しました。既に14年という期間が経っているわけですが、課題となっているのは、予想されたこととはいえ、過疎化、高齢化が随分と進んでいるということです。そうなってくると、リーダーの高齢化もあるし、あるいは財源の問題、そして何より、活動がマンネリ化して幅が広がってこないという課題もあるわけですが、そういった中、農村RMOに非常に注目が集まっています。 先般、農林水産委員会で長野県の農業視察を行いました。長野県では、既に二つの農村RMOが結成されて、取組が今年度からスタートしています。一つは旧村単位の組織、そして、一つは小学校区単位の組織です。これのすばらしいところは、農村で農業とか、そういう農地保全活動に加えて、生活支援をやっている、正にネットワーク・コミュニティの重なる部分だと思うので、今検討の段階でしょうが、今後とも、早くモデル地区を一つでもつくっていただいて、推進していただければと思いますが、その点いかがでしょうか。 ○古手川正治副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 農村のRMOについてですが、議員言われるとおり、ネットワーク・コミュニティのある地域、それから、集落営農法人がある地域、ほぼ一体となった地域だと思います。その中で、集落営農法人等、農業活動をする方たちが中心となって地域コミュニティとしての全体の維持、発展をさせていくのがRMOの趣旨だと思っています。 将来的にはそういった形で、農業を行って、農業でもうかって、農業を行う人がそこで後継者も育てて残っていく。そうした農業活動を行う中で、地域の方と一体となって生活まで支援するのがRMOの精神だと思っています。 ただ、今回、農業戦略会議の中等で集落営農法人の方たちの話を聞くと、どちらかというと、まずは自分たちの集落営農法人が生き残っていくためには、例えば、園芸品目とかもうかる作物を作って、後継者を育てていく、まずはそこの課題認識を持っている方が非常に多くいます。 それで、県としては、そういった集落営農法人がまずはもうかって、後継者ができて、生き残っていく施策を重点的に置いて、その上で、そうやってもうかって地域で元気にやっていく集落営農法人等が地域課題全体を支える組織となっていくのが理想だと思っているので、そういった意味でまずはという形で言いました。 ただ、全体としてそういう形でもうかっていく集落営農法人が地域を支える法人になっていくことは、今後、県としても頭の中に置いて支援していきます。 ○古手川正治副議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 次に、障がい者の就労支援について伺います。 まず、障がい者雇用の促進についてです。 障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員について一定割合以上の障がい者を雇うことを義務付けており、民間企業では2.3%、国、地方公共団体で2.6%、都道府県の教育委員会では2.5%の法定雇用率が示されています。 厚生労働省の資料によると、本県の障がい者雇用率は令和3年度実績で2.59%と前年に比べて若干伸びているものの、全国1位の奈良県2.88%、同2位の沖縄県2.86%に比べて、やや見劣りする数字となっています。 平成26年度に全国順位2位の状況で障がい者雇用率日本一に向けた挑戦が始まったと思いますが、平成30年度以降の全国順位を見ると、6位、5位、7位、7位となっており、ここ数年で長崎県と島根県が大分県を抜き、高知県や岡山県が迫っている状況です。 一方、法定雇用率達成企業の割合は令和3年度実績で61.2%、全国6位となっていますが、全国平均の47%を上回っているものの、順位変動は激しく、令和2年度は13位まで順位を落としています。 これまで障がい者就労環境づくり推進事業を始め、様々な就労支援事業に取り組んでこられましたが、現状に照らし合わせると、障がい者雇用率日本一の奪還の道のりは厳しいものとなっています。 令和3年の全国民間企業全体の障がい者雇用数は59万7,786人であり、雇用数、実雇用率ともに過去最高を記録しています。民間企業への就労者数を増やすことは重要であり、雇用率未達成企業に対する周知と協力が求められています。 そこで、障がい者雇用をどう促進していくのか、知事に伺います。 次に、障がい者の工賃向上についてです。 障がい者雇用率向上とあわせて、障がい者が地域で自立して暮らしていくために欠かせないのが、福祉的就労の場となっている就労継続支援B型事業所における工賃向上の取組です。とりわけ企業等の一般就労と違い、福祉的就労に係る工賃向上の取組が求められています。 県では、平成19年度から大分県障がい者工賃倍増5か年計画や平成24年度から大分県障がい者工賃向上計画に基づいて各種施策に取り組んでこられ、令和3年度から5年度においては大分県障がい者工賃向上計画(第4期)に取り組んでいますが、最近の実績を見ると、工賃向上計画対象事業所の平均月額工賃は、令和2年1万7,924円、令和3年1万8,917円となっています。 長期総合計画においては令和6年度の工賃目標額が2万円となっていますが、達成の見通しについて福祉保健部長に伺います。 また、工賃月額の全国順位を全国トップレベルに引き上げる目標を掲げたことがありましたが、本県の賃金はどの水準にあるのか、あわせて伺います。 ○古手川正治副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 初めに、私から障がい者雇用の促進についてお答えします。 昨年の本県の障がい者雇用率は2.59%と、前年より0.04ポイント上昇し、雇用者数も3年連続で増加しています。 また、昨年3月からの法定雇用率引上げにより、全国的に達成企業割合が低下する中、本県はその割合を伸ばしており、全国3位の伸び率となっています。 これまでの取組の成果が徐々に現れていますが、雇用率と順位の引上げのためには、障がい者団体や就労系事業所だけではなくて、就労先の企業も一体となった取組を強化する必要があります。 それらの関係者が参画する障がい者雇用支援合同会議等を通じて現場の声を聞きながら、次の二つを柱に雇用促進に取り組んでいきます。何とか成果を上げていきたいと思っています。 一つは、企業への働きかけの強化と支援の充実です。 平成27年度から配置している雇用アドバイザー雇用率算定対象企業を中心に訪問し、仕事の切り出しやマッチング支援などを行っています。本年10月末までに雇用につなげた障がい者数は延べ1,608人に上っています。特に従業員300人以上の雇用率未達成企業41社には、県と労働局が合同で個別に訪問し、業務内容に適した人材を紹介するとともに、支援制度の活用を促しています。 さらに、年2回発行する情報誌により達成企業をPRするほか、経営者協会の会議で障がい者雇用のメリットを説明するなど、企業の採用意欲の向上にも力を入れていきます。 二つは、低迷している知的・精神障がい者の雇用促進です。 今年度から知的・精神障がい者を新たに5人以上雇用する企業等に対して、受入れに必要な環境整備の支援を開始しました。これにより、二つの法人が事務機器の整備やジョブコーチの配置等を行い、雇用拡大を図っています。 また、利用者の多くを知的・精神障がい者が占める就労系事業所からの一般就労も重要であり、移行実績に応じて支給する奨励金制度を創設し、A型だけではなくて、B型事業所からの就労も後押ししています。 そうした中、5月にはIT企業と連携した就労支援に取り組むA型事業所が大分市に開設されました。IT業務は在宅就労を選択できることが魅力であり、精神障がい者の応募も多く、ハンディキャップを乗り越えて、デジタル人材としての活躍が期待されます。 令和6年4月からは、週20時間未満の短時間勤務を行う精神障がい者等が雇用率の算定対象に追加される見込みであり、雇用の裾野がさらに広がります。こうした環境の変化にも適切に対応しながら、引き続き障がい者雇用率日本一の奪還を目指して取り組んでいきます。
    ○古手川正治副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 障がい者の工賃向上についてお答えします。 B型事業所利用者のさらなる工賃向上を図るため、昨年度、おおいた共同受注センターITコーディネーターを配置し、高単価が期待できるデータ入力やホームページ作成などのIT関係業務の受注拡大を進めています。 また、労働力不足に悩む農業分野に参画する事業所にはアグリ就労アドバイザーを派遣し、昨年度は75事業所に栽培技術の指導や販路拡大の支援を行いました。県からの物品や役務の優先発注にも積極的に取り組んでおり、歳出決算額に占める調達額の割合は、令和2年度で全国4位の高水準となっています。こうした取組を継続することで、令和6年度における平均工賃月額2万円の目標達成は可能と見込んでいます。 なお、平均工賃月額の全国順位は令和2年度で12位となっています。 ○古手川正治副議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。就労者の雇用ということで企業への働きかけ強化、そして、支援が大事だという話があったのですが、本県知事部局において実施する大分県障がい者活躍推進計画では、知事部局の障がい者雇用率を令和元年2.64%から計画年度の令和6年度には2.7%にすると目標が掲げられています。令和3年度の大分県は2.6%に対して、全国平均では2.82%、府県によっては3%を超えるようなところも見受けられます。 障がい者雇用については、公的機関である県が率先して取り組むべきと考えますが、雇用率を上げるためのどのような取組を進めていくのか、総務部長に伺います。 それから、工賃向上について質問します。 以前言われていた共同受注とか、それから共同販売、この取組は最近はどうなっているのでしょうか。それが1点です。 それから、さきほど答弁の中にもあったように、農福連携は随分進んでいると思います。県下、就労支援B型事業所は令和3年4月1日現在235か所あるわけですが、こういった事業所の取組状況について教えていただきたいのと、今後どのような展望を持っているのか、その点についても伺います。 それから、関連して、A型事業所は雇用契約型ということで最低賃金を払うわけですが、最近、2年連続して最低賃金が大幅にアップされました。令和3年30円、それから、令和4年には32円。最近、物価の高騰もあって、事業所にとっては大変厳しいと聞きます。こういった実態と支援策について伺います。 ○古手川正治副議長 若林総務部長。 ◎若林拓総務部長 まず、私から障がい者雇用に係る県庁の取組についてお答えします。 障がい者雇用率を向上させるためには、障がい者の積極的な採用を進めていくとともに、採用後の職場定着のための支援を行うことが重要と考えています。 採用については、令和元年度から職員採用選考から障がいの区分なく募集を行っています。採用後は支援員による定期的な面談のほか、今年度からは自身の特徴や必要な配慮等を整理した就労パスポートを導入し、その定着を図っています。 また、県庁で最大2年間、非常勤職員として雇用して、そこで必要な知識、技能を習得として、民間の企業等への就労につないでいく取組も行っています。 こうした取組を通じて、県庁の中だけではなく、大分県全体の障がい者雇用が統一されるように取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 3点お尋ねがありました。 まず1点目は、共同受注や共同販売体制の最近の取組状況についてです。 まず、共同受注については、B型事業所単独ではなかなか対応が難しい大量受注とか新規開拓について、B型事業所で共同で運営する、さきほど答弁でも言ったおおいた共同受注センターが担っています。このセンターは平成25年度に県が設置したもので、現在110の事業所が加入しており、昨年度の受注実績は1億377万円で年々増加しています。 共販体制については、農福マルシェと銘打って大型商業施設等での販売会を開催したりとか、県の農林水産祭等のイベントへの出店等により販売会の創出に努めています。 2点目、農福連携の取組状況と今後の展望についてです。 現在、B型事業所の半数近い105の事業所が農業に取り組んでいます。そのうち、77の事業所が施設内に農場を持って農業をする、28の事業所が農家に出向いて就労するという形で取り組んでいます。 今後の展望ですが、農福連携は障がい者の工賃向上につながるだけでなく、担い手不足が課題となっている農業分野での新たな働き手の確保にも結び付くということで、大変有益な取組であり、さらなる拡大を期待しています。 今後とも、振興局と連携して農家と事業所のマッチング支援、あるいはさきほど言ったアドバイザーの派遣や農福マルシェの開催等でしっかりと支援していきます。 3点目、A型事業所は最低賃金が適用されるわけですが、この最低賃金アップの影響、あるいは物価高騰の影響についてです。 令和3年度の決算で、70のA型事業所のうち、16の事業所が赤字決算となっています。また、そのうち五つの事業所がB型に移行しています。最低賃金の引上げや物価高騰の影響が少なからずあるものと考えています。 支援策としては、8月に、A型事業所も対象となる中小企業向けの業務改善助成金があります。これについて、A型事業所を集めた説明会を開催して、その活用を促しています。 さらに、9月補正で福祉施設等に対する電気代高騰分の一部の支援事業を創設しましたが、これは障がい者の就労支援施設も対象として、現在申請を受け付けています。 ○古手川正治副議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。 それでは、3点目、県立学校における諸課題について伺います。 これからの社会は、これまで私たちが信じていた成功物語は通用しない、新しい多様な価値観に基づいたものになると考えられます。それに伴い、教育内容も大きく変化していく時代を迎えています。 本県の教育も、過去の常識にとらわれず、大分県長期教育計画の基本理念である、生涯にわたる力と意欲を高めることに立ち返って、子どもたちだけでなく、県民全体の教育施策を見直す時期に来ていると考えます。 そこで質問ですが、まず1点目は、県立高校の学科改編等に伴う課題についてです。 県では、魅力ある高校づくりを目指した県立高校未来創生ビジョンを策定するにあたり、先行実施の取組として、情報科学高校、津久見高校、2校の学科改編・新設とコースの新設、国東高校、安心院高校、2校の全国募集導入、国東高校、安心院高校、竹田高校、中津南高校耶馬溪校、4校の学校運営協議会の設置が5月に公表されました。 この公表は現場教職員にとっては突然の話で、急遽新しい教育課程の編成等の業務が追加され、負担が大きくなったと聞いています。 そこで、学科改編、学科新設、コース新設を行う高校の現状と課題をお聞かせください。 また、全国募集を導入する高校の全国からの受入体制の確立と課題、その分析、今後予想される受入後の課題をあわせてお聞かせください。 加えて、学校運営協議会を新たに設置する高校の現在の課題とその分析状況についてお聞かせください。 2点目は、地元高校への進学についてです。 ここ2年、大分市、別府市以外の県立高校入学者の定員割れが激しくなっています。このことは、周辺地域の過疎化がより一層進んでいくのではないかという懸念を抱かせます。しかし、周辺地域の私立高校に進学した生徒もいるため、高校進学実態の地域性を把握することは難しい状況です。各市町村の中学卒業生がどの程度自分の住む市町や、市町に高校のない場合は近隣の高校に進学していると分析しているのか、教育長に伺います。 3点目は、教職員の確保についてです。 年度当初から教職員の欠員となる学校が多くなっています。また、本年度の教員採用試験は低倍率となり、次年度への教職員確保の心配はさらに増大しています。昨日の原田議員の質問にもありましたが、教員の人材確保について知事から幅広な答弁をいただきましたが、さらなる確保に向け、少し細かな点も含め提案します。 コロナ禍において、陽性となったために採用試験を受けることができなかった方もいたのではないかと推察しています。 そこで提案ですが、教職員を少しでも多く確保するために、採用試験における新型コロナウイルス感染者への特例として、再試験又は分割した採用試験日程を設定することはできないでしょうか。現在、新型コロナウイルス感染症は2類に相当する感染症の扱いとされており、国の特別な病気の扱いです。高校入試では救済があるわけですから、不足している教職員を確保するためにも、採用試験にも救済が必要と考えます。 また、介護や看護、保育の分野で実施されているような学費補助制度の検討など、教職員を確保するための工夫も必要だと考えます。教職員のさらなる確保に向けた方策について、教育長の見解をお聞きします。 4点目は、特別支援学校の再編についてです。 このたび第3次大分県特別支援教育推進計画を改訂するにあたり、パブリックコメントの募集が行われ、結果が公表されました。様々な意見が寄せられていますが、大きな変更は行われず改訂すると聞いています。 そこで、いくつかの点をお尋ねします。 大分市内の知的障がい特別支援学校の新設と南石垣支援学校の旧別府羽室台高校への移転についてですが、施設の改修等、今後の計画はどうなっていますか。 また、これらの学校の新設や移転に関し、現場の教職員の声を聞く機会は設定されているのでしょうか。実際に使用する教職員の経験や意見を聞くことは生徒への教育を充実させるためにも重要と考えていますが、そのような機会をつくることについてどのような考えか、教育長の見解を伺います。 南石垣支援学校の旧別府羽室台高校への移転により、これまでよりも遠くなる児童生徒が出ることも心配されることから、交通手段を検討することも必要と考えます。教育的な配慮として、一般就労に向けた路線バスを利用する機会を設けることも検討する必要があると考えますが、あわせて見解を伺います。 5点目は、部活動の地域移行についてです。 本年11月の中学校の休日の部活動の地域移行を前に、ガイドラインの改定案が公表されました。国では来年度から地域移行の準備が進んでいます。 本県でも中学校部活動の地域移行に関する研究がなされています。県内の中学校の状況を考えると、少子化によりチームが組めなくなるなど、部活動の選択肢が少ないという地域も存在します。教育の一環として考え、よりよい形に整備する必要があると思います。部活動の地域移行は地域のつながりを強くし、そこで育った子どもたちが将来地域に戻ってくるという過疎化対策にもなると考えています。 中学校の部活動の地域移行について、現在の状況と課題をどのように分析しているのか、教育長に伺います。 また、高校の部活動についてはどのような方向性を考えているのか、あわせて伺います。 ○古手川正治副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 5点についてお答えします。 まず、県立高校の学科改編等に伴う課題についてです。 県立高校においては、生徒が魅力を感じ、そこで学びたいと思える、選ばれる学校づくりを進めていくことが重要だと考えています。 学科改編を行う2校については、IT人材の育成や地域ビジネスの活性化につながるよう、カリキュラム及び環境整備に取り組んでいます。 全国募集実施校における受入体制については、2校のうち、安心院高校には寮がないため、宇佐市や同校PTAとの連携により、下宿などの準備を進め、受験者や保護者が安心できる環境づくりを目指しています。受入後は、慣れない地で安心して生活できる相談体制の確立が必要であるので、地域の協力の下、準備を進めていきます。 学校運営協議会については、委員の人選が何より重要です。導入する4校については、現在あるコンソーシアムなどにこだわらず、幅広に人選を行います。 次に、地元高校への進学についてです。 大分、別府、両市以外においては、中学校卒業者の地元県立高校への進学率は、過去3年間、50%前後で推移しています。地元高校以外の進学先は、他地域の県立高校のほか、県内外の私立高校や県外公立高校、高専などであり、進路が多様化している状況です。 そのような中ですが、豊後高田市では地元進学率が約75%と非常に高く、九重、玖珠、両町では2年前から15%上昇するなどしています。これは地域との積極的な連携や、地域からの支援などの取組の成果でもあると考えています。 引き続き全ての高校において生徒の希望や保護者のニーズに応えられるような魅力、特色ある学校づくりに努めるとともに、地域と連携、協働した取組を推進していきます。 3点目は、教職員の確保についてです。 本県の教員採用選考試験では、事前に受験者に対して、新型コロナ等に罹患又は濃厚接触者となり受験できなかった場合、再試験を実施しない旨を通知しています。 1次試験では教科、科目ごとに36種類の問題を作成する必要があり、その作成には4か月を要することから追試験は困難であり、全国的にも実施している自治体は見られません。 2次試験は、ほとんどの自治体で救済策を講じていませんが、本県の1次試験合格者には、次年度において1次試験を免除することで、2次試験の受験機会を確保しています。 また、教職員確保の学費補助制度については、九州各県でも実施しているところは見られません。 教職員を十分確保するために、他県状況なども参考にしながら、引き続き教員採用選考試験の工夫、改善を行います。 特別支援学校の再編についてお答えします。 大分地区で新設する特別支援学校については、令和6年4月の開校に向けて、旧聾学校校舎の改修など準備を進めています。また、南石垣支援学校については、旧別府羽室台高校の改修に向けて、設計作業を行っています。これらの取組を進めるにあたって、教職員の意見を聞くことは当然必要です。そのため、新設校の教育課程の検討にあたっては、関係校の主幹教諭などからなる検討会を設置しています。また、羽室台高校の設計では、業者との打合せに校長、教頭なども出席しています。 路線バスの利用については、今年度、児童生徒119人のうち通学で使用しているのは9人にとどまっていますが、ほとんどの児童生徒が授業や職場実習でバス等の利用方法を学んでいます。 移転後は、運行本数の多い鉄輪バス停の活用など、工夫しながら、子どもたちの社会参加と自立に向けて生きる力を身に付けてもらいたいと考えています。 最後に、部活動の地域移行についてお答えします。 県では、昨年度から市町村に対して、中学校の部活動の実態を把握し、検討委員会を設置して、運営を担う受皿団体や指導者の確保の在り方など、円滑な移行に向け協議を進めるよう指導、助言してきました。 市町村によっては、検討委員会を設置し協議を重ねている地域もあれば、設置のみで具体の動きがない、あるいは設置に至らず担当課の協議にとどまる地域もあるなど、今後、移行の進捗に地域差が出ることが懸念されます。 ガイドラインの改定を受け、今後は県の推進計画を市町村に示すとともに、各市町村の推進計画の策定に向け、具体的な取組の内容やスケジュール等の指導、助言を行っていきます。 なお、国のガイドライン案では、高校の部活動は学校等の実情に応じて改革に取り組むことが望ましいとあり、高校に適した在り方を研究していきます。 ○古手川正治副議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 時間がなくなったので、2点だけ申します。 2番目の地元高校への進学です。 さきほど答弁の中で、過去3年間の平均、別府、大分以外は50%と約半数の生徒が地元の高校に、私立も含めてですが、半数がよそに行っているという、地域にとっては大変厳しい数字ではないかという気がしました。 以前から指摘があるように、全県1区にした影響もあるでしょうし、地域によっては地域との連携や協働によって何とか生徒の足止めができているところもあるわけですが、現在の定員割れ、特に県教委では配慮いただき、いわゆる虫食いと言われる30人・35人学級によって、学校そのものを維持していこうという取組については大変ありがたいと思っています。現在の状況を考えると、地元の地域の子どもを地域に残す、そのことをひとつ教育委員会としても、これから市町村に頼るのではなしに、県としても主導的に考えていただき、地域の学校は地域の文化の殿堂でもあるし、ある意味、地域の活性化の大きな役割を担っているわけですから、地域に学校を残す、子どもをそこで育てる、そのことをこれからも念頭に御尽力いただければと思っています。 それから、支援学校のことについて関連してですが、今年4月にさくらの杜高等支援学校が開校しました。正にこれから職業を選べる、そのための高度な技能や技術を学べる学校として大変期待が高まっているわけですが、半年を経過して、現在の課題をどのように分析しているのか、分かる範囲で結構ですから答弁ください。 ○古手川正治副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 さくらの杜高等支援学校についてお答えします。 本年4月に開校して、1年生32人が在籍して、一般就労100%を目指して教育を行っていますが、具体的には、杉乃井ホテルの元料理長など専門性の高い企業経験者に特別非常勤講師をお願いしており、職業教育に特化した授業を行っています。 また、この学校はコミュニティ・スクールを導入していますが、その委員に県商工会議所連合会長など経済界のトップの方々に自らなっていただいており、特に企業との連携、それから、生徒に対する理解の促進に重点を置いて進めています。 課題としては、何といっても卒業生全員の適性に応じた就労先を2年後から毎年確保し続けることだと考えています。そのため、ジョブコンダクターの活用などにより積極的に職場開拓を進めて、卒業生全員の一般就労を実現するための取組に注力します。 ○古手川正治副議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 最後に、農業をめぐる諸課題について伺います。 1点目は、集出荷施設等の整備についてです。 農業振興の中で柱の一つが園芸振興であり、短期集中県域支援品目のねぎ、ピーマン、高糖度かんしょ、ベリーツを中心に、生産拡大に取り組まれています。生産地の分散化も進んでおり、かつて豊後高田市が主生産地であった白ねぎは、今や県内全域に広がっています。 生産拡大に伴う出荷量の増加で気になるのが、集出荷施設や予冷・貯蔵庫の整備です。さきほどの白ねぎについては豊肥地区でも近年栽培が増えてきていますが、鮮度を保つための予冷施設が近くになくて、生産者は困っているのではないかと感じています。 園芸産地の拡大を支える集出荷施設等の整備の状況について、農林水産部長に伺います。 2点目は、農業分野の企業参入についてです。 平成19年から積極的に取組を始めた農業分野への企業参入は、今年で16年目を迎え、令和3年度までに338社が参入しており、農業産出額の向上、雇用の創出、農地・荒廃地の活用など、大きな波及効果をもたらしています。 最近の参入状況も20社を超える実績を上げていますが、さらなる参入促進のための取組について伺います。 また、これまでに撤退や休止した企業も多く存在しますが、これらの遊休施設、圃場の活用や再活動の支援についてどのように考えているのか、あわせて伺います。 3点目は、お茶の生産振興についてです。 全国的なお茶の生産量は、1位静岡県、2位鹿児島県で、全体の約7割を占めていますが、九州各県でも栽培は盛んで、令和2年の荒茶生産量は、4位宮崎、6位福岡、8位佐賀、9位熊本、12位長崎、そして、大分が14位となっています。 本県の荒茶生産量は昭和54年時点で872トンでしたが、平成16年には333トンまで落ち込みました。その後、令和2年実績では549トンと増産傾向にあります。背景には、株式会社伊藤園とのドリンク茶の茶産地育成事業の成果が挙げられます。この事業では、杵築市、臼杵市、宇佐市に大規模な茶園造成を行い、新規参入企業4社が育成、生産にあたっています。 そこで質問ですが、茶産地育成事業の実績とさらなる事業拡大についての見通しについて伺います。 また、荒茶加工施設の整備について、あわせて伺います。 4点目は、農村・地域農業を支える担い手についてです。 担い手不足の中、集落営農が推進されていますが、中山間地域を始め、地域農業を支えている多くは高齢者専業や兼業農家という実態があります。こうした農業者は、中山間地域等直接支払制度、多面的機能支払交付金など国の制度を活用しながら、狭隘な田畑において農業を行い、農地や農業用水路、農道等の農村の集落機能を維持していますが、それ以外の県や市の農業施策の恩恵を受けることはほとんどありません。農作物の販売を直売所のみに依存している方も多くいます。 県では、直売所を拠点とした中山間地域農業推進事業で直売所の販売拡大に取り組んでいますが、栽培技術指導や小規模ビニールハウス等の補助事業枠の創設など、多品種・少量生産農業生産者に対する直接的支援も必要ではないでしょうか。 農村・地域農業を支える担い手への支援について、農林水産部長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 4点質問いただきました。 まず、集出荷施設等の整備についてお答えします。 園芸産地の拡大には、生産拡大とあわせてマーケットニーズに対応できる効率的な流通体制の構築を進めることが重要です。このため、農業総合戦略会議では農業団体と連携して、行動計画に基づいた産地拡大と同時に、産地の拠点となる集出荷施設等の施設整備を進めています。 白ねぎについては、令和5年までに北部、豊肥地域等で184ヘクタール以上の産地拡大が見込まれており、豊後高田市の呉崎集出荷場、それから、大分市の全農青果センターの2拠点で県内全域の集荷、予冷、出荷ができる体制を整えました。 他の品目でも、ベリーツのパッケージセンターや高糖度かんしょの貯蔵施設など、産地拡大を見据えた施設整備を進めています。 生産者が安心して経営拡大できるよう、計画的な施設整備を支援し、マーケットインの園芸産地の育成に急ぎ取り組みます。 次に、農業分野の企業参入についてお答えします。 令和2年度までに参入した企業の農業産出額は約145億円となっています。県産出額の1割を超えるなど、地域農業の活性化につながる重要な経営体です。そのため、企業誘致にあたっては、営農実績のある企業には農地を事前に確保して紹介するなど、企業の特徴に応じた相談対応を行っています。 また、営農実績のない企業に対しては、作りやすく販路も確保できている品目を優先的に提案して、参入当初には定期的に栽培指導するなど、きめ細かく支援を行っています。 一方、親会社の経営方針の転換等により、撤退した企業の施設や圃場については、現在交渉中のものを除き、全てがマッチング支援により、新たな生産者が再活用しています。 今後とも、企業ニーズに対応した柔軟かつスピーディーで円滑な企業参入を進めていきます。 次に、お茶の生産振興についてお答えします。 県では、ドリンク茶需要の高まりを受けて、平成18年と24年に株式会社伊藤園と茶産地育成協定を締結し、合計200ヘクタールを目標に産地拡大を進めています。 これまでに県内の4社が新規参入し、規模拡大に取り組んだ結果、令和3年度には栽培面積が185ヘクタール、販売額は4億円まで拡大し、お尋ねの荒茶加工施設も3社で整備が完了し、残り1社も整備を計画しています。これに加えて、来年度にかけては3社により約17ヘクタールの面積拡大も予定されています。 県では、園地造成や新植、機械導入、防霜施設の整備等を支援することで、目標である200ヘクタールの達成を図るとともに、成園化に向けた栽培指導等を行い、より一層の生産拡大を目指します。 最後に、農村・地域農業を支える担い手についてお答えします。 産地や地域を守り、発展させていくためには、核となり地域を牽引する力強い経営体の育成とあわせて、その礎となる元気で豊かな農山漁村づくりを進めていくことが必要です。このため県では、農地の約7割が位置する中山間地域等の営農継続を支援するため、日本型直接支払交付金、年間約38億円の直接的な支援を行っています。 また、議員御指摘のとおり、直売所の販売増に向けた取組も支援しており、平成28年度から令和元年度には本事業を活用して簡易ハウス計11棟が導入されました。 加えて、現在、農業総合戦略会議の中で、中山間地の担い手の在り方について、集落営農法人や市町村等と議論を重ねています。持続可能な経営の確立に向けた仕組みづくりに取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 尾島保彦君。 ◆尾島保彦議員 ありがとうございました。時間がありませんので、1点だけ再質問したいと思います。 お茶の生産ですが、今、伊藤園の話が出ました。一般のお茶についてはどのような実態なのか教えてください。特に、伊藤園が持ち込んだ最先端の技術をいかして県内のお茶の振興を図ることも考えられるのではないでしょうか。 ○古手川正治副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 一般茶の生産の実態と伊藤園の生産技術の普及という質問をいただきました。 まず、県内の茶の生産実態ですが、令和2年度、栽培面積は471ヘクタール、荒茶生産量は549トンとなっています。そのうち、一般茶葉の栽培面積は294ヘクタール、荒茶生産量は132トンとなっています。 一番茶を中心とする一般茶葉と、伊藤園は摘採を3回まで行うドリンク用茶葉であり、摘採のタイミングや荒茶までの加工方法、蒸す温度等がかなり違っており、ドリンク用の茶葉を直接的に一般茶葉にいかすのはなかなか難しいところがあるのではないかと思っています。(「終わります」と呼ぶ者あり)(拍手) ○古手川正治副議長 以上で尾島保彦君の質問及び答弁は終わりました。清田哲也君。  〔清田議員登壇〕(拍手) ◆清田哲也議員 皆さんおはようございます。4番、自由民主党、清田哲也です。 今回、一般質問の機会をいただいた先輩、同僚議員の皆さんに感謝します。また、今日は佐伯市本匠、蒲江地区より市議会時代の先輩のお二人と大分県漁協より幹部のお二人、傍聴に来ていただきありがとうございます。 まずは、造船業を取り巻く諸課題について伺います。 造船業は産業規模が大きい業種であることから、今後の振興策としてどのような支援が適切なのかを考えていかなくてはなりません。造船業が持つ魅力を本県の強みにしながら、また、本県が他県に先駆けて取り組んでいる産業政策とのマッチングの中に本県造船業の未来があるのではないかと思うので、そのような観点でいくつか質問します。 まず、1点目です。造船業の振興について。 船舶の建造による経済波及効果は、建造費の3倍との試算もあります。造船、舶用工業等の海事産業クラスターを形成する地域に大きな経済波及効果をもたらしています。2021年の新造船竣工量は世界全体で6,060万総トンとなっており、前年比4.8%の増、日本国内においては1,070万総トンで対前年比16.4%の減となっています。 総トン数ベースにおける世界シェアは、中国44%、韓国32%、日本17%となっており、この3か国で世界の93%を占めています。しかしながら、海運税制の格差もありますが、中国と韓国の両政府はWTO補助金協定に抵触する可能性のある公的支援を行っており、公正な受注競争環境とは言い難い状況の中で我が国の造船業は戦わなければなりません。また、鋼材の価格高騰や人材確保、顧客である船主やオペレーターに対する優遇税制が今年度末に適用期限を迎えることなど、造船業を取り巻く環境は厳しさを増しています。 このような状況の中、県内では大分市、臼杵市、佐伯市が加盟し、造船業が立地する全国44市町村で構成される海事産業の未来を共創する--共に創るですね、共創する全国市区町村の会が地元に立地する造船業を守るため、本年8月、海運税制の競争国との格差是正や公正な競争環境確保のためのWTOへの提訴、次世代技術開発への支援や人材確保等に関して国に要望活動を行っています。 言うまでもなく、大分市、臼杵市、佐伯市に立地する造船業は地域における雇用、経済を担う基幹産業であり、大分県にとっても大切な主要産業であると認識しているが、国政が解決すべき課題も含め、県としても造船業に対する理解をさらに深め、しっかり後押ししていくべきと考えます。 また、カーボンニュートラルへの挑戦は造船業においても例外ではなく、水素、アンモニア等のゼロエミッション燃料や他の代替燃料の導入に向けた技術開発と環境整備を着実に進めていかなくてはなりません。既に近距離内航船においては、100%バッテリーで稼働する電気船が就航しており、来年度は佐伯の造船所でも電気船を建造するべくチャレンジが始まっています。ちなみに、これが実現すれば九州では初の電気船の建造となるそうです。県では9月補正予算において、水素エネルギーのサプライチェーンに関する技術開発支援を決定しています。カーボンニュートラルに対応できる船舶の建造技術獲得が受注競争の大きな要素になり得ることが予測される中、水素先進県を目指す本県のエネルギー政策と造船業とのマッチングを検討することや、水素に限らず、クリーンエネルギーによる船舶建造技術開発に対する支援など、県内造船業が取り組む新たな技術開発に対して支援を行うことが大切です。これにより競争力を強化し、受注を安定させ、ひいては雇用を守り、県経済の発展にも資するのではないかと考えます。 こうしたことを踏まえ、業界が抱える課題に関してどのように認識し、新技術への挑戦に対する支援も含め、今後その振興にどのように取り組んでいかれるのか、知事に伺います。 以降、対面席にて行います。  〔清田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○古手川正治副議長 ただいまの清田哲也君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 清田哲也議員から造船業の振興について御質問いただきました。 造船業は御指摘のとおり、県南から中部にかけてのリアス式地形を利用し、多数の関連事業者が集積する裾野の広い産業であり、長年にわたり地域の経済や雇用に大きく貢献してきた大変重要な基幹産業です。 昨年3月、造船6社の代表者と意見交換を行いました。各社とも中国や韓国との競争激化に加え、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行から物流の停滞に伴う建造需要の低迷や営業機会の喪失により受注が減少し、手持ち工事量が厳しい状況にあると伺いました。 こうした話の中で最も懸念されたのが、厳しい経営環境にあっても、生産現場を支える技術人材の雇用の維持を図ることでした。このため、県では、労働局と連携し、雇用調整助成金の特例措置や従業員を一時的に出向させる在籍型出向制度の情報提供などを支援してきました。また、各社や地元自治体と協議の上、個社ごとの相談に対応して新たな業務の受注確保を後押しするため、機器整備補助や産業創造機構による新規取引開拓等の支援に取り組んできました。 このような支援や各社の営業努力により、受注状況はその後改善されましたが、昨今の鋼材価格の値上がりが新規受注を難しくし、さらには既存受注の利益率を悪化させ、各社の収益に大きな影を落としています。 こうした原材料価格の高騰に対しては、県として本年10月に新たな制度資金を準備し、金融面からの支援を整えたところです。中長期的には、国際的に海運業界が進めるカーボンニュートラルに対応した次世代技術開発への挑戦が重要な課題となります。 県内では、海運における環境負荷の低減を図るため、中型LPG船や小型ケミカルタンカーの新たな船型の開発が行われています。また、佐伯市の企業は本年3月、海事産業強化法に基づき、優れた省エネ装置等を備えた特定船舶導入計画について、内航船としては初となる国の認定を受けました。 県としても、こうした高い技術力を有する県内造船業のさらなる挑戦を後押しするため、今年度、大分県エネルギー産業企業会を通じ、水素エネルギーとして利用する次世代燃料船の研究開発を補助しています。 また、デジタルの活用を通じた生産性向上による事業基盤の強化も避けては通れません。このため、県では、自動化が困難な船体溶接の品質を可視化するデジタルツールや、大型構造物の高精度な計測を可能とする3次元測定システムの導入等を支援してきました。 今後とも地元自治体と連携し、業界を取り巻く環境や各社の状況をしっかりと把握した上で造船業の振興に取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 知事ありがとうございます。 昨年、大変受注が滞っている状況があり、様々な御支援、御配慮いただいたこと、大変感謝します。また、受注が回復してきたら鋼材高騰で、造船業独特の商習慣というか、鋼材の契約をしたときの価格でずっといく、価格転嫁しないという商習慣もあり、知事の答弁にあったように利益率の圧縮に苦しんでいます。 ただ、御答弁の中にあった先端技術の挑戦という部分、また、今後の県内造船業の新たな飛躍というところのDX化とか、新たな技術への挑戦に対する支援も引き続きまたこれからよろしくお願いします。大変ありがとうございます。 2点目の質問に行きます。造船業の戦略的な情報発信についてです。 本県の主要産業といえば、中津市のダイハツを中心とした自動車関連産業、日本製鉄、昭和電工を始めとする大分コンビナート、大分県LSIクラスターとして産業集積を進める半導体産業が挙げられますが、さらにアジア初の宇宙港としての大分空港が大きく注目を集めています。その中、宇宙関連産業の発展にも期待が集まります。当然ながら、これらの産業は県のホームページを始め、紙媒体においても様々な情報発信がなされており、人材確保や新たな取引先の創出においてもその効果が表れているのではないかと思います。 県外、海外からの企業誘致を着実に進めていくことが重要であることと同様に、地場産業として古くから県内に根を張っている造船業にも光を当て、その魅力を県内外に情報発信していくことも造船業に対する大きな支援になると考えています。 さきほども言いましたが、日本の貿易を支える船舶を造る技術が大分県にあり、本県の主要産業としてこれからも造船業が発展していくよう、その魅力や実績をホームページや教育現場、東京、大阪、福岡の各事務所においても他の主要産業と同様に発信することで、人材確保や造船各社の受注にも寄与すると考えます。造船業の戦略的な情報発信について、商工観光労働部長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 造船業は、地域経済を支える重要な産業です。この認識については、本県の中小企業支援の基本方針たる中小企業活性化条例でもうたっています。 先日、地元学生も参加した佐伯市の進水式に参列しました。関係者に造船への思いや歩みを伺い、地域における重要性を改めて実感しました。 県としては、小学5年生を対象に毎年発行する副読本おおいたものづくり発見ブックの中で、造船企業の魅力に加え、船の仕組みや建造過程などを分かりやすく紹介しています。 また、大学や高専の学生に企業の技術などを紹介するイベントに今年度から造船会社も参加いただいています。学生からは、大きなものをつくる達成感を感じてみたい、ものづくりの楽しさと壮大さを知ったなど興味を持つ声が多数ありました。 県内の造船業は、戦前の木造船の時代から今日の大型鋼船に至る長い歴史があり、今後、電気推進船や水素などを利用する次世代燃料船の開発も期待されます。また、壮大な進水式や立地するリアス式海岸の美しさなど多くのアピールポイントを有する産業でもあります。 造船業の多様な魅力に関するもう一段の戦略的な情報発信の方策について、地元自治体や各社とともにしっかり検討します。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 商工観光労働部長が進水式を見に行っていただいたと、増田社長に伺いました。大変ありがとうございます。 そこで、今御答弁いただいたのですが、1点、要望に行ったときに私が言った、ぜひともおんせん県おおいたと並んで造船県おおいたを執行部の皆さんでも気軽に共有していただきたい。正にこれをキャッチフレーズにもっと造船を身近に感じていただきたいと思いますが、造船県おおいた、いかがでしょうか。 ○古手川正治副議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 造船県おおいたのアイデアですが、キャッチフレーズで様々な課題がすぐに解決するわけではないと認識はしていますが、さきほど言ったとおり、正にこの造船業は県としても非常に重要な産業なので、その振興に向けてしっかりと取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 大変塩辛い答弁ありがとうございます。今日は日本代表に敬意を表してサムライブルーで来たので、鋭く三苫選手のドリブルのように切り込んでいくので、よろしくお願いします。 キャッチフレーズでは解決しませんが、気軽に感じていただきたいという思いで言ったのであり、造船県おおいた、しっかり部内でそういう思いを共有していただきたい。それですぐに解決ということではなくて、そういう思いで言っているので、もう一度答弁してください。 ○古手川正治副議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 造船業の重要性については、商工観光労働部の中だけではなく、県庁でも広く重要性を認識しているので、正に造船県おおいたというその思いは既に認識されていますが、改めて今後の造船業の振興に向けてしっかりと共有して、様々な取組を進めていきます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 ありがとうございます。 では、次の進水式の観光資源としての活用について伺います。 進水式において、大きな船体が海に滑り込んでいく姿は圧巻で、現地で見学すると感動すら覚えます。佐伯市ではホームページで市内3社の進水式に関し、日時や一般見学の可否、船の大きさ等を公開し、進水式を目的に佐伯市へ訪れる方々を増やす取組の一つとして活用しています。私たち自民党会派も9月に進水式を見学しました。地元私立高校のブラスバンド演奏やチアリーディング、地元小学生がわくわくしながら見守る様子、船主を迎え入れる際の造船会社スタッフの独特の緊張感など進水式が始まるまでの様子も、ほかでは見ることのできない式典でした。 進水式は、造船所が立地するまちの風景として大変魅力ある観光資源だと思います。地元自治体との連携による進水式の観光資源としての活用に関して観光局長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 巨大な船が轟音とともに水しぶきを上げながら海に向かっていく進水式は、造船の技術力や地域の文化を体験できる絶好の機会であり、その迫力ある光景は、造船所が立地する地域ならではの特別感のある魅力的な観光資源です。 県では、これまでも地元自治体と連携し、進水式を観光素材として、SNS等による情報発信や旅行会社との商談会での積極的な売り込みなど誘客対策に取り組んできました。 例えば、佐伯市では、進水式を活用したツアー造成支援や見学ハンドブックの作成などにも取り組んでいます。最近では、ななつ星のツアーに造船所周辺を散策しながら造船業を学ぶコースが組み込まれるなど、産業観光としての広がりを見せています。今後、教育旅行の素材としても活用を検討していきます。 進水式は祝福のセレモニーで、デスティネーションキャンペーンのキャッチフレーズである「至福の旅!大吉の旅!福岡・大分」にも通じます。船主や企業、地元自治体等と連携を図り、地域の食や体験と組み合わせ、デスティネーションキャンペーンにおける観光素材としても活用し、多くの集客が得られるように取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 観光局長、ありがとうございます。 コロナがあったので、なかなかたくさんの人を集めての進水式はできなかったのですが、久方ぶりにやっとそれができるようになり、もちろん教育素材としての進水式も当然いいですし、なかなか見る機会がありませんので、今後とも佐伯市と連携を深めながら、観光資源としての活用を推進していただくようよろしくお願いします。 それでは、水産業の将来展望についてです。 本県は、周防灘から豊後水道に面し、良好な漁場に恵まれ、関あじ、関さばを始め、城下カレイ、クルマエビ、ハモ、タチウオ等、大分県産の天然魚のブランドは高い評価を得ています。県内広域で付加価値の高い天然魚が捕れる中でも、水産業の盛んな佐伯市では江戸時代以前より延長270キロメートルにも及ぶ海岸線の沿岸で漁業が営まれ、その品質は日々世界中から新鮮な魚介類が集まる東京豊洲市場でも高く評価され、養殖や水産加工の技術もトップクラスの水産都市として知られています。 「佐伯の殿様 浦でもつ」これは江戸時代から佐伯で言い伝えられる言葉ですが、古来より漁業が経済活動の支えであったことを表しています。合併により九州一広い市となった佐伯市の内陸部は、祖母傾国定公園の山々に囲まれ、東には国内有数のリアス式海岸が広がり、その風光明媚な大自然を結ぶ清流・番匠川が森からの栄養分を海へと運ぶことで海岸線に多様な生物が集まり、350種類とも言われる豊富な魚種を誇ります。藩祖である毛利高政公は、この海洋環境を守るために日本で初めて山林伐採を規制する触れ書きを出し、他藩にも影響を与えたと言われています。 しかし、近年では、まき網や底引き網、定置網等での漁獲量が減り、燃油高騰も重なり、漁船漁業者の経営は厳しさを増しています。漁獲量は自然条件によるところが大きく、漁獲量が少なくても経営を安定させるため、カキ養殖を始め、他の水産業を兼業する方もいると聞いています。豊後水道の漁船漁業が存続していくためにも、兼業を始める事業者に対する支援策を始め、対策が必要であると考えます。 一方、生産量において全国1位のヒラメ、2位のブリを始め、フグ、アジなど全国でも上位を占める本県の養殖漁業は、本県農林水産業の大きな柱となっています。県が進める関東圏を中心とした販売戦略が功を奏し、養殖ブリにおいては関東圏の大手量販店を中心に販路が拡大しており、農林水産省の輸出拡大実行戦略の重点品目として選定され、輸出産地として本県が記載されています。養殖漁業は自然条件の影響を受けにくく、技術の向上もあり、経営面においても資源管理の面においても安定した漁業形態であると言えます。しかしながら、昨年生じたブリの稚魚、モジャコの不漁や赤潮の発生による養殖魚のへい死など解決すべき課題はまだ残されています。 本年9月の台風第14号で最大瞬間風速50.4メートルを記録した佐伯市蒲江地区においては、陸上養殖施設の倒壊、養殖設備の損壊によるヒラメのへい死や湾内への退避時の低酸素水塊の発生により大量の養殖ブリがへい死しました。その被害額は約8億円に上り、養殖事業者の事業存続に大きな影を落としています。漁業共済での対応が基本となることは承知しているが、このままでは2年間収入がなくなると同時に事業再開に向けた稚魚の購入もできないことから、途方に暮れていたところ、今回、経営継続緊急支援事業が補正予算として上程されており、このことは知事の御英断に大変感謝する次第です。 令和6年度には本県で全国豊かな海づくり大会も開催される予定となっており、引き続き水産業の振興を図っていく必要があります。特に県の主力水産品目である養殖ブリ、養殖ヒラメの付加価値は、それ自体の品質の高さはもちろんですが、同じ海域の天然魚の評価にもよるところが少なからずあると思われ、漁船漁業と養殖業とが車の両輪のごとく発展してこそ、本県水産業の振興があると考えます。 こうしたことを踏まえ、漁船漁業と養殖業の振興に向けた本県水産業の将来展望について知事の考えを伺います。 ○古手川正治副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 水産業の将来展望について御質問いただきました。 本県は、豊前海から別府湾、そして、豊後水道まで豊かな漁場に恵まれ、底引き網や一本釣り、あるいはまき網等により多種多様な魚種が捕れる全国有数の産地となっています。また、生産者の不断の努力により、ブリ、ヒラメ、最近ではクロマグロなど全国に誇れる養殖魚の産地としても、その地位を確立しています。 そうした本県の水産業を将来にわたって発展させていくためには、漁船漁業、養殖業のそれぞれの課題を乗り越えていくことが重要であり、次の3点に取り組みます。 一つは、漁船漁業の振興です。水産資源の減少が大きな課題となっていることから、その回復に向けた資源管理と種苗放流の一体的な取組が不可欠となっています。 このため資源管理では、ICTを活用した資源評価を新たに導入することで漁業者自身の自覚も高め、漁獲管理を徹底していきます。種苗放流では、建て替えを進めている国東の漁業公社の機能強化により、種苗生産能力を120%に増やし、安定供給していくとともに、高単価で取引されるキジハタなど新規魚種の取組を推進していきます。 あわせて、漁場の環境整備も重要です。産卵場や稚魚の育成場となる藻場を造成するとともに、漁業者が実施する保全活動を支援するなど、魚の住みやすい環境づくりに努めます。 二つは、養殖業の振興です。中でも養殖ブリは国内外で加工需要が拡大しており、既存の加工場では賄い切れなくなっていることから、県漁協が計画する新たな加工場の建設を後押しします。 あわせて、モジャコ不漁時の稚魚の安定確保や出荷端境期の解消のため、人工種苗の生産技術開発等に継続して取り組みます。 また、これまでの生産者の努力により後継者も育っています。今回の台風及び赤潮の影響で被害に遭った後継者が将来に向けて事業継続できるように予算を提案したところです。 三つは、流通対策です。県では関東方面で多くの店舗を展開する3社をパートナーシップ量販店に認定し、その店舗数は合わせて200を超えました。これに加え、本年度は外食需要の回復を見据え、関東で約30店舗を展開するすし店をパートナーシップ飲食店として認定しました。今後とも認定店の拡大や連携強化により、県産魚のさらなる消費拡大に努めます。 輸出では、養殖のブリやクロマグロを中心に、北米、中国での現地業者との連携や量販店でのフェア等による販路拡大を進めます。 令和6年度に開催が決まった全国豊かな海づくり大会を絶好の機会と捉え、生産者、関係団体と連携し、取組を着実に実行することで、水産業の振興にしっかりとつなげていきます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 正に知事が御答弁いただいたように、今回の台風は複合災害というか、台風と赤潮が同時に重なってしまったということで、台風が明けてすぐ現場に行ったのですが、本当に涙ながらにへい死したブリを片付ける生産者の話を聞いて、今までたくさんいろんな被害はあったが、さすがに今回は心が折れそうだという話を聞きました。そしてまた、特に被害が大きかった県漁協、蒲江の上入津支店管内ですが、いわゆる大学を卒業して3代目がちょうど帰ってきて、その3代目たちがおやじからの業を継いで、そこでまた自分たちの子を産み育てる。そういう養殖業の存続もそうですが、地域の活性化も正にいい感じになっていた矢先のことでしたので、今回の知事の御英断に関しては大変地元の皆さんも喜んでいるし、将来に光が差したのかなと思っています。 また、今回の件にあたり、私たち自民党の調査会、同僚、先輩議員の皆様も蒲江まで足を運んでいただき、また、農林水産部水産担当の皆さん方も大きく大きく骨を折っていただいて、御尽力いただいたこと、この場を借りて皆さんに御礼申し上げます。大変ありがとうございました。 では、次の質問に移ります。 佐伯港についてです。 佐伯港は旧藩時代から交易が行われ、天然の良港として、四国など近隣沿岸地域との交通の要衝として栄えてきました。さらに戦前には軍港として、戦後はパルプ、造船、セメント、合板等の工場が立地する臨海工業地域を形成しました。また、木材集散地としても重要な地位を占めており、昭和50年代初頭には木材埠頭として水深10メートル岸壁を整備し、その後、取扱貨物量の増加や船舶の大型化に対応するため、平成5年から国際物流ターミナル整備事業に着手し、当時としては九州でも数少ない水深14メーター岸壁を平成26年3月に供用開始しています。また、平成30年度には水深14メートル岸壁と水深10メートル岸壁の間の未整備区間70メートルの整備も完了し、女島岸壁は720メートルの連続バースとして一体的な利用が可能となりました。さらに東九州自動車道宮河内-佐伯間の4車線化工事も着工され、陸上交通とのネットワーク向上も視野に入っています。 しかし、近年では、高知県宿毛市と佐伯市を結んでいたフェリー航路の休止を始め、原木、石膏、バイオマス発電用燃料のヤシ殻の取扱いはあるものの、港の規模に見合った活用がなされていない状況にあります。自動車産業の利用により活況を呈す中津港や別府、大分港はもとより、八幡浜市に2社2航路が就航する臼杵港では新たなフェリーターミナルの建設も始まります。津久見港はセメント産業を中心に港の利用がなされています。岸壁の整備が大きく前進したことは地元佐伯としては大変喜ばしいことですが、フェリー航路の休止や取扱貨物量の減少などを踏まえ、佐伯港の将来展望をどのように考えるか、土木建築部長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 佐伯港は、立地企業の事業縮小等による専用岸壁での貨物量減少が大きく影響し、かねてから取扱貨物量の回復が課題であると認識しています。 このため、県、市、地元経済界が連携し、港の利用拡大に向けたポートセールスを推進しています。その結果、近年、バイオマス燃料の輸入や中国への原木輸出が開始され、佐伯港の原木輸出量は全国4位となるなど、令和2年以降、全体の取扱貨物量は増加に転じています。 こうした産業面での利用を促進するため、現在、港湾荷役作業の効率化に向けた埠頭用地の整備を進めているほか、防災面では、南海トラフ地震を見据えた耐震強化岸壁を整備するなど港湾機能の拡充を図っています。また、観光浮揚を目指す佐伯市等の取組が功を奏して、これまで5回のクルーズ船寄港も実現し、観光面での活用も進められています。 こうした中、東九州自動車道の4車線化が着々と進められており、九州の東の玄関口としてのポテンシャルが高まっています。今後とも地元関係者との連携を深め、佐伯港の強みをいかしたポートセールスを展開し、県南や宮崎県北部地域における貨物集積港を念頭に多面的な利活用を図っていきます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 土木建築部長、ありがとうございます。今後とも背後地のもろもろ、また市からも要望があっているかと思いますが、アドバイスを含め、多方面での御支援をよろしくお願いします。 では、次の質問に移ります。 浄化槽の維持管理についてです。 令和3年度の汚水処理人口普及状況総括表によると、汚水処理人口90万5,622人、人口普及率80.5%で、全国では43位となっています。普及率の向上は道半ばであり、各施策の推進を見守っていかなくてはなりませんが、この普及率の中で合併処理浄化槽による処理人口普及率は24.3%、処理人口は27万3,690人となっています。 合併処理浄化槽は、地震災害に強く、下水道施設のように大規模な管路の敷設や処理場建設が不要で汚水処理が可能となることから、初期費用、維持管理費用の両面から自治体財政に及ぼす影響が少ないため、かねてからの下水道計画を見直し、合併処理浄化槽へ転換する傾向も顕著です。しかしながら、設置後の維持管理が所有者の責任となり、保守点検を怠ってしまう場合や、法定検査を受けずに使用を続けることで浄化槽の性能が発揮されずに汚水を垂れ流している状況になってしまうなどの欠点もあります。 浄化槽法第12条では、保守点検又は清掃についての改善命令等の権限を都道府県知事に認めており、大分県浄化槽指導要綱の中に保健所長等の指導、助言、勧告を規定しています。現状では、おおむね半数の市町村で権限移譲を受けているようですが、権限移譲を受けていない市町村の浄化槽の維持管理について、保守点検、清掃、法定検査が適正になされているかどうかの確認体制はどのようになっているのか、まず伺います。 また、責務を果たしていない浄化槽管理者の特定が行われた場合、迅速に指導、勧告を行い、浄化槽の機能回復を行わなければ水質環境の悪化が進むばかりとなります。権限移譲を受けていない市町村においては、県主導の下、市町村との連携により調査と改善を推進していくべきと考えます。さらに保守点検業者の登録も県となっていることから、適切な保守点検業務が行われているのか、技術者の在籍確認など保守点検事業者の資格要件、業務内容の審査、改善も同時に行うべきと考えます。 浄化槽の維持管理をめぐる以上3点の課題について、生活環境部長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋強生活環境部長 浄化槽の維持管理については、一般家庭など各浄化槽管理者が保守点検、清掃及び法定検査の三つを適正に受けることが義務付けられています。 法定検査については、県から指定を受けた大分県環境管理協会が行い、保守点検や清掃の実施状況もあわせて検査しています。 権限が移譲されていない8市町村ですが、その情報を県環境管理協会から受け、県において適正管理の確認体制を整備しています。また、管理が不十分な浄化槽設置者に対しては、文書による指導を行っている状況です。 指導に従わず、公衆衛生上、著しい支障がある場合は、市町村との連携の下、訪問指導を始め、勧告、改善命令などにより対処することとしています。 保守点検業者に対しては、新規登録や更新登録時に資格者などの配置状況、点検記録の整備状況等をしっかり確認し、適宜指導しています。また、適切な保守点検業務を行っていない業者には、勧告等により対応することにしています。 今後とも、市町村や県環境管理協会としっかり連携し、浄化槽の適切な維持管理に取り組んでいきます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 2点ほど再質問します。 改正浄化槽法第54条第1項、浄化槽の設置及び管理に関し必要な協議を行うための協議会を組織することができる規定が追加されました。県、市町村、管理協会、関係業界が地域ごとの課題を共有し、地域ごとの課題を迅速に解決していくためには必要な協議会であるとともに、台帳の整備を進めていくためにも有効な組織になるのではないかと思います。この法定協議会の設置に向けた取組を迅速に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。 2点目、不適切な設置者に対する文書指導はさきほど答弁の中でも伺いました。ただ、指導後も是正が確認できない設置者に対しての浄化槽法第12条第1項に基づく勧告、同条第2項及び第62条に基づく罰則の適用も適時、的確に行っていかなければ浄化槽の機能が発揮されません。 設置はしているが、汚水が出続けているという本末転倒な状態が生じ、法を遵守し、費用を負担しながら浄化槽を適切に管理している設置者に対して不平等な扱いとなってしまうので、勧告、罰則の適用もしっかり視野に入れて、的確に適時行っていく必要があると考えますが、見解を伺います。 ○古手川正治副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋強生活環境部長 議員から2点御質問いただきました。 まず、浄化槽の法定協議会の話です。 正に議員御指摘のとおり、浄化槽に関する台帳整備、あるいは法定検査の受検率の向上については、なかなか難しい問題と認識しているが、県、市町村、環境管理協会、業界団体等が一体となり、認識を共有した上で地域の課題について対応、協議するこの協議会については、浄化槽の適切な維持管理に有意義な取組だと考えます。 全国の協議会の設置状況を調べてみると、全国で今のところ10県が設置しているということで、九州においても福岡、宮崎が設置している状況です。 本県においても、他県状況の調査、環境管理協会の声を聞くなど、正に今検討しており、市町村や環境管理協会など関係機関との調整を早々にまとめ、年度内の協議会設置を進めたいと考えます。これが1点です。 もう一点は、なかなか指導が生ぬるいと、勧告、罰則の適用も含めてという話です。 これまでも罰則の適用までは至らないものの、11件、保守点検、清掃に関する勧告を実施しています。 本県においての状況ですが、今のところ、勧告、改善命令等を行ったことは確かにありませんが、今後、浄化槽から汚水が出続ける等の事案について、浄化槽設置者に対して文書指導、訪問指導を行ってもなおその状況が改善しないということについては、やはり支障があるという認識です。そのため、事案によっては保守点検業者も含め、躊躇することなく、罰則の適用も含めて厳正に対処していきます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 生活環境部長、ありがとうございます。 みなし浄化槽とか台帳の整備は、非常に困難な作業であることは承知しています。また、なかなか11条検査も理解が進んでいない状況もありますが、啓発と、明らかに悪質な設置者に関しては法に基づいた毅然な対応が逆に改善にもつながっていくと思うので、大変前向きな答弁をいただきありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。 次の質問に移ります。 佐伯市は903平方キロメートルと九州一広い市です。通院や買物、銀行など周辺部から市街地に行くのも一苦労です。県ではオンライン診療の実用化に向けた実証実験を行っていますが、医療だけではなく、日常の困り事の解決にもオンライン技術の活用が可能ではないかと考えます。 高齢者の皆さんは、パソコンやスマートフォンの操作には不慣れな方も多いため、市町村が持つケーブルテレビ伝送路を活用し、テレビ画面を見ながら、ふだん使い慣れたテレビのリモコンを使ってテレビ画面上で医療機関の予約ができたり、宅配があれば日用品の注文ができたり、コミュニティバスの時刻表を見ることができるサービスが提供できたら、市街地から離れた場所に住む高齢者にも安心と安全をお届けできるのではないかと思います。 既に開発に着手している県内民間事業者の話も伺っているし、長野県では一部の地域でこのようなサービスが既に開始されているとも聞いています。周辺部に住むデメリットをデジタル技術によって解決する取組として、ケーブルテレビ伝送路を活用した日常生活における各種サービスの提供について調査、研究を進めていくべきと考えますが、商工観光労働部長の見解を伺います。 ○古手川正治副議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 県内ケーブルテレビは官民の21事業者により運営され、加入世帯は38万6千世帯、全体の71.3%となっています。この率は九州1位、全国でも9位であり、県民に広く普及するメディアであると認識しています。 ケーブルテレビは、地域の祭りや行事、議会中継など地域に密着した情報発信や災害時の避難指示などの行政情報の伝達に加え、インターネットサービスの提供など地域生活を支える重要な通信基盤となっています。 こうしたコンテンツとインフラ両方の強みをさらにいかして、日常生活を支える地域のDXを目指すビジョンが昨年、日本ケーブルテレビ連盟から示されました。議員御指摘のような伝送路を活用したIoTサービスによる社会課題解決の動きが各地で加速しています。 本県においても、ネットワークカメラを設置して高齢者やお子様の様子を外出先から確認できる見守りサービスや、エアコンや照明を外出先から操作できるサービスが一部の民間事業者により開始されています。 このような日常生活の困り事や利便性向上につながるサービスの県内展開について、県下10市町村で構成する自治体ケーブルテレビ推進協議会と連携して調査、研究を進めます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 商工観光労働部長、堂安選手の素晴らしいシュートのような答弁ありがとうございます。 いわゆるFTTHといって、幹線も引込線も両方光化されているとなれば、さらに拡張性が高まっていろんなサービスの提供ができていく。今、全てのケーブルテレビ事業者の伝送路網契約世帯がFTTH化されているかといえば、恐らく全てはなっていないと思います。 ただ、ほぼどこのケーブルテレビもFTTH化を進めていると思うし、これはコンテンツさえできれば有効な手段になり得ると思うので、もう既に幹線が出来上がっているわけですから、ぜひとも答弁のとおり今後も調査、研究を進めていってください。よろしくお願いします。 それでは、最後の質問です。 離島の振興についてです。 県内には姫島、地無垢島、保戸島、大入島、大島、屋形島、深島の七つの有人離島があり、これらが離島振興対策実施地域に指定されています。 離島は四方を海に囲まれ、人口の減少が長期にわたり継続し、かつ高齢化が急速に進展するなど、他の地域に比較して厳しい自然的、社会的条件の下にあるため、活力ある地域活動を維持するため、さらに振興対策を強化する必要があります。 昭和28年に離島振興法が制定されて以来、10年ごとに離島振興計画を策定し、各種施策等に取り組んできたところですが、本年度は平成25年度からの10年間の計画年の最終年です。活気ある島づくり推進のため、生活交通の確保や生活環境の整備、住民福祉の充実など生活の利便性の向上による地域間格差の是正はもとより、島特有の地域資源に磨きをかけ、自然や文化などの島の特性をいかしたツーリズムなど新たな可能性を切り開き、島の魅力をいかした交流の促進などを通じて、住民が安心して生きがいを持って住み続けられる島づくりを目指してきたことと思います。その成果について、まずお尋ねします。 また、国では、離島振興において関係人口のような島外の人材を巻き込んでいく視点などを追加した新たな向こう10年間をつかさどる離島振興法の一部を改正する法律が先月成立しました。デジタル技術の進展を踏まえた場所に制約されない働き方の普及や定住促進を図るための空き家の有効活用など、時代の潮流を反映させた離島に対する配慮規定の充実が盛り込まれたところです。 こうしたことを踏まえ、本県では次期離島振興についてどのような方針で取り組もうとされているのか、あわせて伺います。 ○古手川正治副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 県では離島振興計画を策定し、住民が安心と生きがいを感じながら住み続けられる島づくりを地元自治体と共に推進しています。 例えば、佐伯市では、屋形島でのゲストハウス整備や深島でのみそ作り体験プログラムの提供、大入島でのオルレコース開発などの観光振興策を通じて島外との交流を促進しています。 あわせて、大島では医薬品のドローン配送実証実験を行ったほか、津久見市の保戸島では遠隔診療システムの導入など、島民の安心につながる取組を行っています。 姫島村では、魚介類の種苗放流や養殖用クルマエビの種苗生産施設の整備等により、基幹産業である水産業の振興に取り組むほか、ITアイランド構想の推進が県外企業の進出と移住につながっています。 次期計画については、改正法及び国の基本方針を踏まえつつ、本県の離島の特性をいかしながら、地元自治体と連携し、策定していきます。 策定にあたっては、先端技術を導入した医療の充実やリモートワークなどを活用した産業振興、空き家を使った交流人口の拡大や関係人口の創出等も検討していきます。 ○古手川正治副議長 清田哲也君。 ◆清田哲也議員 企画振興部長、ありがとうございます。離島振興、また今後も引き続きよろしくお願いします。 最後に広瀬知事、私は4年間しか御一緒できませんでしたが、しっかり県政の光を全県下に届ける広瀬知事の率先した姿勢、大変勉強させていただきました。今後も、私もその一助を担えるようにしっかり取り組んでいくので、勇退後も様々なアドバイスをいただきますようお願いして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○古手川正治副議長 以上で清田哲也君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時5分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○御手洗吉生議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。猿渡久子君。  〔猿渡議員登壇〕(拍手) ◆猿渡久子議員 日本共産党の猿渡久子です。切実な問題ばかりなので、ぜひ前向きな答弁をよろしくお願いします。 まず、物価高騰による県民生活への影響についてから質問に入ります。 止まらない値上げラッシュの影響で県民生活の悪化が深刻になっています。お金に困らない暮らしのために地方自治体が果たす役割はますます重要だと考えています。 2か月ほど前のことです。命の危機を親戚の支援で何とか乗り越えたという方から相談がありました。食べる物にも本当に困る状況で、10日間も物を食べることができずに水など水分だけで過ごしたと聞いています。どんなにつらかったかと胸が痛みます。塗装業で働いていたそうですが、3年ほど前にけがをされて、その後、コロナが追い打ちをかけたと。体格が以前の半分ぐらいに痩せていたと聞きました。社協の生活福祉資金なども知らなかったそうです。生活保護にも大変抵抗があったと言われていました。私は、コロナになってから宣伝カーで制度の活用や相談を呼びかけたり、行政にも制度を幅広くお知らせするように繰り返し求めてきましたが、不十分だったと反省しています。 こうした状況を打開するためには、賃上げを軸に実体経済を立て直すこと、とりわけ内需を活発にすることに本腰を入れることが必要です。 日本共産党は、物価高騰から暮らしと営業を守るために緊急提案を行いました。この緊急提案は、大企業の内部留保に時限的に課税し、大企業も中小企業も賃上げを実現する、国の責任で全てのケア労働者の皆さんの賃上げを進めるなど、日本経済の脆弱な体質、冷たく弱い経済を優しく強い経済へと大本から改革し、持続可能な成長を実現する経済政策の抜本的転換の提案ともなっています。 その一つ目、消費税の減税についてまず伺います。 資本金10億円以上の大企業が2012年以降に増やした内部留保額に対して毎年2%、5年間で合計10%の時限的課税をし、この税収10兆円で中小企業・小規模企業の賃上げのための直接支援を行うことを日本共産党は提案しています。 私が別府を中心にお願いした県政アンケートでは、物価高で大変という声が97%を超えています。物価高の対策には消費税減税が一番手っ取り早いのではないかという声や、年金生活だけでは食べていくのがやっとだなどの声がたくさん寄せられています。今こそ消費税減税を国に求めるべきだと考えます。コロナ以降、世界の100の国や地域で、消費税や付加価値税の減税が実施されています。日本でも消費税を緊急に減税すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。 2点目、物価高対策についてです。 物価高はあらゆる分野に及んでいますが、国の対策はガソリンや輸入小麦、電気、ガス代といった部分的、一時的な価格抑制策だけです。物価高によって、1年前に比べ家計の負担増は1世帯当たり約10万円にもなります。電気代の影響は、このうち2割程度です。物価高への対策は消費税の減税が一番効果的ですが、そのほかにも物価高から家計を守り、消費を温め、景気を回復させる早急な対策が求められます。 日田市は、電気、ガス、灯油、ガソリン、軽油、重油などエネルギー関連経費に対して、独自の支援策を市内中小業者などを対象に実施しています。大分県としても医療、福祉関係などの施設への電気代の助成など支援策を実施しており、これは評価しているが、さらに幅広い対象への支援策が必要です。大分県としても、物価高への対策として中小業者や県民へのさらなる支援策を実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。 3、ガソリン価格についてです。 県政アンケートに、大分県には九州で唯一製油施設があるのに庶民は製油所を眺めながら全国でトップクラスに高いガソリン代を払っている、そこから運ぶ福岡などは格段に安いではないか、なぜこのような状態になっているのか、こんな状態を何年放置するのかという声や、パンドラの箱を開けてほしいという声が寄せられています。大分県が他県に比べてガソリン代が高い理由を県としてどう認識しているのか、対策が必要だと考えます。 4、最低賃金の引上げについてです。 最低賃金を自給1,500円、手取りで月収20万円程度に引き上げることは、最低限の生活という面でも、地域経済の底上げと日本経済の活性化のためにも急務です。鍵は、中小企業・小規模事業者の賃上げへの直接支援です。しっかり支援することで賃上げできるようにすべきだと考えます。全ての企業で賃上げできるように、赤字企業も負担している社会保険料を賃上げに応じて軽減すること、社会保険料軽減では賃上げできない業者には賃上助成を行うことを日本共産党は提案しています。最低賃金のさらなる引上げを国に求めるべきだと考えますが、どうでしょうか。 また、県と受注する事業者との間で結ばれる契約に、生活できる賃金など人間らしく働くことのできる労働条件を定める公契約条例を制定することが必要だと考えますが、あわせて答弁を求めます。 5、会計年度任用職員など非正規職員の賃金引上げについてです。 国や自治体が管轄する分野での賃上げを速やかに行うことも大切です。大分県が雇用する会計年度任用職員など非正規職員の賃金を1,500円以上に引き上げるべきだと考えますが、見解を求めます。 6、国民健康保険税や介護保険などの負担についてです。 10月から高齢者の医療費窓口負担の値上げが強行されました。また、国民健康保険税などの保険料が高く、貯金を取り崩して生活しているという年金生活の方の声も寄せられています。来年の介護保険法改定に向け、利用料の2割、3割負担の対象拡大、要介護1、2の在宅サービスの保険給付外し、ケアプラン有料化、介護保険料金の支払年齢の20から30歳代への引下げなど、介護関係者が史上最悪と呼ぶ改悪案を政府が今検討しています。 物価高騰の中で、医療、介護という命にも関わるところでの負担増は、非人道的であるとともに暮らしを破壊してしまいます。国の負担を増やし、国民の負担を軽くすることこそ今必要です。 国保税については、公費1兆円投入を国に求め、国保税の値上げをやめさせるべき、人頭税のような均等割、平等割をなくして、抜本的に引き下げるべきと考えます。このような国保税や介護保険の負担についてどう認識しているのでしょうか。 以上、6点について県の見解を求めます。 以下は対面席より質問します。  〔猿渡議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの猿渡久子君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま猿渡久子議員から物価高騰による県民生活の苦境に対してどういう手を打つかについて、いろいろ政策提言をいただきながら御質問いただきました。まず、私からお答えします。 初めに、消費税についての御質問でした。 我が国経済は、ウィズコロナの下、社会経済活動の正常化が徐々に進展する一方で、原材料価格の上昇や円安等によるエネルギー、食料品等の価格上昇はなお続いており、国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしています。 物価高騰で厳しい状況にある生活者、事業者に対しては、国・地方を挙げて、特に家計への負担が大きい低所得世帯への給付金の支給や、エネルギー、食料品等への重点的な対策などの支援をこれまで講じてきたところです。 さらに、国は足下の物価高を克服し、経済再生の実現を図るための総合経済対策を10月末に策定しており、県においても、経済対策に呼応した県独自の対策が展開できるように補正予算を今議会に提出しています。 議員からは、物価高騰への対策として、諸外国と同様に我が国においても消費税減税を実施するよう国に求めるべきだとの御意見をいただきました。しかしながら、消費税は、急速に進む少子高齢化の中で厳しい日本の財政状況に鑑み、財政健全化への内外への信任を得て、世界に誇るべき社会保障制度を次の世代に引き継ぐために必要な財源であると認識しています。 消費税率の引上げによる増収分は、その全額を社会保障財源に充てることとされており、幼児教育・保育の無償化や医療、介護保険制度の改革などに活用され、全世代を通じた社会保障の充実につながっています。 持続可能な社会保障制度の確立とそのための安定財源の確保、財政の健全化のためにも、これ以上、将来世代に過重な借金を背負わせることのないようにするためにも、消費税率の引下げについては慎重に考えるべきではないかと思います。 県としては、物価高騰の逆風から県民の暮らしや企業活動を守るため、国や関係機関と連携しながら、厳しい状況にある生活者、事業者への支援を、冒頭言ったようにいろんな手を使いながら、きめ細かく講じていきます。 次に、物価高騰対策についての御質問でした。 世界規模の物価高騰が見られる中、円安の進行とあいまって、輸入物価の上昇を通じたコストプッシュ型の物価上昇が続いています。他方で、円安にありながら、日本銀行はコロナ禍から回復途上にある経済を支えるため、金融緩和を継続しており、大変厳しい環境の中で物価高への対応を迫られている状況です。 国では、上昇幅が大きいエネルギー、食料品に的を絞った価格抑制策を講じており、今回の総合経済対策では、例えば、エネルギーについてガソリン等の燃料油に加え、新たに電気やガスの料金を抑制する補助制度が創設されます。県でも、価格転嫁になじまない公的なサービスを維持するため、福祉施設、医療機関、地域交通機関等を対象に電気代や燃料費を補助してきたところです。 これらの直接的な支援を届ける一方で、支援を受ける事業者にとどまらず、社会経済全体への波及効果を生み出していくためには、ヒト、モノ、カネの流れを活性化し、経済の好循環をつくり出す施策が必要です。 このため、県では、県民の家計への支援を行いつつ、価格転嫁しやすい環境づくりにもつながるプレミアム商品券事業を2度にわたり実施しています。県内全体の登録店舗数は、小売、飲食、理美容などの生活関連サービスを中心に1万1千件を超えました。ただ、多くの市町村では今月末をもって第2弾が終了となるので、足下の消費を切れ目なく支えていくため、発行総額130億円程度の第3弾を速やかに実施したいと考えています。 また、持続的に消費を上向かせていくためには、賃金の引上げが欠かせません。県では既に最低賃金を引き上げる事業者の設備投資等に対する独自の業務改善助成金、奨励金を実施しています。加えて、国が総合経済対策で拡充する事業再構築補助金や生産性革命推進事業などの活用も促し、賃上げを可能にする生産性の向上を後押ししていきます。 その他、中小企業の自家消費型のエコエネルギーの導入補助を行っていますが、太陽光発電と蓄電池で蓄えた電気を使用することにより、エネルギーコストを抑える効果もあります。10月の公募では、予想を上回る60件もの申請がありました。今回その予算を増額するとともに家庭向け事業も新設し、脱炭素化とエネルギー高対策の双方に役立てていきます。 ウィズコロナの中、物価上昇に対応しながら、社会経済活動の再活性化を図ることは容易なことではありません。国や市町村、商工団体などの関係機関と連携し、県内の消費を支え、事業者をしっかりと支援することにより、県経済を民需主導の自立的成長路線へと戻していきます。 そのほか、大変大事な御質問をいただきました。これらについては担当部長からお答えします。 ○御手洗吉生議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 ガソリン価格についての御質問及び最低賃金等についての御質問についてお答えします。 まず、ガソリン価格についてです。 ガソリン価格は、各給油所の立地環境、経営規模、仕入価格などを踏まえ、事業者の自主的判断で設定されています。本県のガソリン価格は他県に比べて高い状況にありますが、市場原理に基づくものと認識しています。 ガソリンは県民生活に欠かせない商品であるため、消費者がガソリン等を購入する際の判断材料として活用できるよう、県では毎年2回、石油製品販売価格等調査を行い、市や郡ごとの価格差や価格変化を公表しています。 給油所は、移動手段を持たない高齢者への灯油宅配などのサービスも提供するなど、地域社会に必要不可欠なインフラです。一方で、後継者不足や従業員確保、施設老朽化、販売量減少などの課題を抱えているものと認識しています。そのため、事業者に様々な支援制度の活用などを促し、地域社会のインフラとしての機能を維持しつつ、適正な販売価格で営業が継続できるよう支援していきます。 続いて、最低賃金等についてお答えします。 最低賃金の引上げは重要ですが、急激かつ大幅な引上げは中小企業等の雇用や事業継続への影響が懸念されます。地域ごとの生計費や企業の支払能力などを十分に考慮することが必要です。 その際に重要となるのは、企業が持続的な賃上げに踏み出せる環境整備です。県としても、国に呼応して生産性向上と賃金引上げをあわせて行う中小企業等への支援や、価格転嫁などの下請取引の適正化に取り組むとともに、国に対してさらなる支援強化を要望しています。 国は、来春の賃金交渉で物価上昇率をカバーする賃上げを目標とした議論を労使に求めるとともに、今年度第2次補正予算に賃上げを条件とした補助金拡充などを盛り込んでいます。 公共事業等の従事者の適正な賃金等の確保については、公契約条例を始め、様々な手法を部局横断で検討し、労務単価の引上げや最低制限価格制度の導入など効果的な対策を実施しています。引き続き国や他県の動きも注視しつつ、より効果の高い対策を不断に検討していきます。 ○御手洗吉生議長 若林総務部長。 ◎若林拓総務部長 会計年度任用職員の報酬に関する御質問です。 同職員の報酬単価の決定については、制度導入時より国から示された通知等に基づき、個々の業務内容を踏まえた上で、類似する職務に従事する正規職員との権衡を考慮して定めています。 具体的に言うと、標準的な業務に従事する会計年度任用職員の報酬単価については、正規職員の大学卒の初任給基準額相当を上限としており、その上で学歴及び職歴を考慮して決定しています。 時給について御指摘がありましたが、標準的な勤務形態である月18日、1日6時間45分の勤務の場合の報酬単価は、日額8,110円となっています。これを時給にすると1,201円です。 これは地方公務員法に定める均衡の原則の規定などを踏まえた給与決定であり、適正な報酬水準であると考えています。引き続き、正規職員の給与の動向、国や他の都道府県の状況等も注視しながら、適切に給与決定を行っていくよう努めます。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 国民健康保険制度等における負担についてお答えします。 現下の超高齢社会において、増加する医療や介護の費用を負担能力に応じて全ての世代で公平に支え合う仕組みが求められています。特に国民健康保険税は、被用者保険にはない均等割や平等割が課されており、低所得者への軽減措置が導入されてはいるものの、負担感があることは県としても認識しています。 そのため、本県単独の提言活動や全国知事会等を通じて、財政支援の拡充や子どもに係る均等割保険税軽減措置の導入等について毎年国に要望してきました。その結果、今年4月から未就学児分の均等割保険税の5割軽減が実現したところです。 また、介護保険制度についても、毎年、国庫負担割合の引上げなどを国に要望しています。現在、国において制度の持続性を確保するための給付と負担の見直しが検討されており、情報収集に努めています。今後とも県民が安心して暮らせるよう、国に対して必要な要望を行っていきます。 ○御手洗吉生議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 ありがとうございます。 消費税の減税についての答弁で、社会保障の充実につながっていると知事は言われたのですが、国民はそういう実感はありません。社会保障は改悪に次ぐ改悪、物価が上がっても年金は減っているし、いろんな負担は増え続けている。第一、介護保険料はスタート時点の2倍ですよね。本当に社会保障に使われているのだったら、今言われているような改悪はないと思うのですよね。そういう中で、知事に物価高の対策や暮らしの支援策について再度答弁をお願いします。 物価高や過剰債務、インボイスへの危惧などによる倒産や廃業が増えることが心配されています。一方、大企業の内部留保は500兆円を超えて、505兆円まで増えてきています。これはどんどん増えて、この間まで484兆円と言っていたのがまた増えましたよね。500兆円というと国家予算の5年分、大変な格差が広がっている。これも政治の責任だと思うのですね。 都道府県の最賃審議会でも政府の支援策では不十分だと、賃上げへの直接支援が必要だということを、政府への要望、意見が相次いでいます。 私が今、別府を中心にお願いしているアンケートには、311の回答が寄せられています。その中に、介護士として20年働いているのに給料が上がりません。昇給は年千円です。子どもを育てていくのに不安で仕方がない。手取りで16万円ほどしかありません。こういう声や、コロナ禍で売上げが戻らない中で、燃料や仕入れが高騰し、もうお手上げ状態ですと。何とか支援してほしい。あるいはコロナがまた増えてきて、商店街で生き残る自信がなくなる。こういう声、たくさんの悲鳴が寄せられています。 私たちは、やはり今、この声に本当に応えなければならないと思うのです。しっかり支援することが答弁の中にあったかと思うので、幅広い県民を対象にした暮らしや営業の支援策、さらなる支援策がどうしても必要なので、今後さらにそこを拡充していく考えがあるのか、知事に再度答弁をお願いします。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 いろいろ御質問いただきましたが、まず、社会保障についてですが、日本はどちらかというと低負担、高福祉というところを担ってやってきたわけですが、少子高齢化がこれだけ進んでくるとなかなか厳しくなる。したがって、これまで、あるいはこれまで以上の社会福祉サービスをやりながら、しかも、財政負担というか、国民の負担を軽減していくのはなかなか難しいということで、消費税も投入しながら、加えて、できるだけ福祉の充実を図っていこうということでやっているわけで、結果的に自己負担率が増えたとか、いろいろな話がありましたが、それだけ福祉のサービスが広がり、かつまた、それだけ財源が厳しくなっていると考えざるを得ない。国民のいろんな世代でこれを維持していく工夫をしていかなければいけないということなのではないかなと思っています。 その話と、それから、言われるように企業の留保が非常に多くなっているという話とは別であり、それはそれで多いかどうか、いろんな議論があると思いますが、多いとすれば、やっぱりもっともっと従業員の給与に出すべきだとか、あるいはまた、もっと先のことにいろんな投資をして、ぜひ国にもどんどん法人税を納めてもらうようにもうかってもらう、そういう投資をやってくださいとか、そういうことはあるのであって、何かもうけ過ぎていろいろ貯金しているから、それを物価高騰対策に使えというのはちょっと筋が違うような気がします。それはそれで、では、どういうふうにもっともっと公平に歩合のようにするのか、もっともっと有効に日本の経済産業のために使うのか、こういう議論をしていかなければならないと思います。いろんなところを財源別に議論すべきではないかと考えます。 猿渡議員の言われることはよく分かるし、何とか物価高騰対策をやらなければいけないなという気持ちもよく分かります。乏しい財源の中ですが、今度もいろいろやらせていただいています。十分ではないかもしれませんが、お気持ちはよく理解しながら、できることをやっているというのが私どもの現状です。 ○御手洗吉生議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 次の質問に移ります。 新型コロナウイルス感染症対策についてです。 これまでも保健師など職員の増員等に取り組んできたことや、無料検査や宿泊療養施設を増やしてきたことなど、また、今度の議会で県病の看護師などを38人増員しようと提案されていることなど、本庁の関係各部署を含め、皆さんの努力に敬意を表します。その上で、再び増加傾向にある中で、さらに対策の強化、充実が必要です。 一つ目に、検査・医療体制の強化について。 高齢者施設、医療機関などへの頻回検査をさらに進めること、特に無料のPCR検査を充実すべきと考えます。 また、地域医療への支援を強化し、感染者や疑いのある人が十分な検査と医療を受けられるようにすることが必要で、救急などコロナ以外の医療の逼迫が起こらないように体制を強化すべきと考えますが、あわせて答弁を求めます。 2点目、コロナ感染時の支援策についてです。 コロナに感染し、自営業の方が休業したが、体力が落ちて、以前のように仕事ができるようになるまでには随分期間を要した。しかし、何の支援もないという声が上がっています。 国民健康保険の傷病手当金のコロナ特例は、事業主にはありません。検査で陽性となった自営業者に対する休業支援金の支給など、県として安心して休むための所得保障、何らかの支援が必要だと考えますが、どうでしょうか。 3点目、保健所の体制強化について。 保健所は、臨時的なスタッフ増など、また、職員増など取り組んでいますが、保健所の統合により保健所の機能が低下したという声も寄せられています。第7波のピークとなった今年8月の保健所職員の時間外勤務は、過労死ライン超えの80時間以上が36人、そのうち100時間超えは15人もいます。さらなる増員と保健所の増設が必要と考えますが、県の見解を求めます。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私から2点お答えします。 1点目は、検査・医療体制についてです。 高齢者施設等におけるクラスター対策は、職員への頻回検査や新たな入所者等への検査が重要です。11万人を超える対象者の数を考えると、時間や費用のかかるPCR検査よりも迅速で安価な抗原検査が合理的と考えられます。このため、本県では、通所施設を含む高齢者施設や障がい者施設、幼児教育・保育施設、精神科病院など約6,700か所の施設に対し、抗原検査キットを268万個配布して、職員の定期検査を促しています。 また、救急を含めた医療逼迫の回避は極めて重要であり、この冬に危惧されるインフルエンザとの同時流行にも万全を期す必要があります。そのため、8月末には自己検査による陽性者の登録センターを開設し、軽症者が医療機関を受診せずに陽性者登録して、健康観察を受けられる仕組みを整備しました。 加えて、全国6位の水準にある診療・検査医療機関をさらに増やすとともに、診療時間の延長や休日のドライブスルー方式での外来診療等により対応力の強化を図っていきます。 2点目は、保健所の体制についてです。 2次医療圏の見直しに伴う平成20年の保健所の再編は、限られた専門職種の複数配置等により、地域保健の広域的、専門的かつ技術的拠点として複雑高度化する課題に的確に対応できるようにしたものです。 今回のコロナ禍では、この体制の下で正規職員の増員や会計年度任用職員の配置を始め、人材派遣会社の活用や全庁的な応援の仕組みを構築するなど、感染状況に応じて機動的に対応しています。 同時に、クラウドサービスの活用やアウトソーシング等による業務の効率化を進め、職員の負担軽減を図りながら、地域保健の拠点としての役割を果たしています。 また、9月下旬の全数届出見直しに伴う健康フォローアップセンターの開設により、長時間勤務はかなり改善されています。とはいえ、長期にわたるコロナ対応により疲労の蓄積も心配されることから、引き続き健康管理に十分配慮しながら、必要な体制の確保に努めていきます。 ○御手洗吉生議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 コロナ感染時の支援策についてお答えします。 個人事業主やフリーランスを含む中小企業が新型コロナウイルス感染症の影響などで事業活動に支障を来さないよう、いわゆるゼロゼロ融資の借換えなどに対応可能な制度資金を創設し、資金繰りへの支援を一層強化していきます。 さらに、困窮している事業者には生活福祉資金貸付制度や国税、県税の納税猶予制度などを紹介しています。 また、国は個人事業主やフリーランスと取引を行う発注事業者に対して、当該個人事業主などからコロナ感染などを理由として納期延長などの求めがあった場合には、できる限り柔軟な対応を行うよう業界団体を通じて要請しています。 県としても、個人事業主などが取引事業者から適切でない対応を受けた場合は産業創造機構に設けている下請かけこみ寺に相談するよう、商工団体などを通じて周知しています。 個人事業主やフリーランスを含む中小企業・小規模事業者がコロナ禍でも事業活動を継続できるよう、引き続き商工団体などとも連携し、必要な支援を行っていきます。 ○御手洗吉生議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 個人事業主の支援について再度答弁を求めます。 今言われたような融資だとか、いろんな制度は使った上でのことなのですよね。そういう中でもやっぱり仕事を休まなければいけないのに、収入が減っているのだから、それに何らかの支援が必要だということなのです。そこをもう一度、答弁をお願いします。 ○御手洗吉生議長 利光商工観光労働部長。 ◎利光秀方商工観光労働部長 まずは、さきほど言った資金繰り支援として今議会で上程した県制度資金を漏れなく周知した上で、様々な支援策をしっかり活用していただくことに注力していきます。 引き続き国の動向も注視して、必要な対応を検討していきます。 ○御手洗吉生議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 安心して休めなければ、下手したら感染が広がることにつながってしまうと思うのです。安心して休める状況、検査ができる状況をつくらなければならないと思うので、重ねてさらなる支援策を求めます。 3点目の質問に移ります。 子育て、教育施策の充実についてです。 子どもの医療費助成制度についてから質問に入ります。 高校卒業まで入院や通院の医療費が無料となる制度は、県下でも豊後高田市、宇佐市、由布市、国東市、玖珠町で実施されており、次第に広がっています。全国的にも高校卒業まで無料が当たり前という状況になってきています。本県としても18歳の年度末、高校卒業年齢までの医療費無料制度に取り組むべきだと考えますが、どうでしょうか。 また、高校卒業年齢まで通院医療費を無料にした場合に必要な金額の試算について、あわせて答弁を求めます。 2点目、給食費無償化など学校での保護者の負担軽減についてです。 文科省の子どもの学習費調査によると、入学時に必要な費用として、中学校では制服、学用品、通学用品で約9万9千円、高校では教科書代が加わって約14万4千円とのことです。実際にはこれでは済みません。入学後すぐに必要なものの追加や年度途中で購入するものも多く、保護者の負担は大変です。 物価高騰の中で、義務教育の無償をうたった憲法26条を踏まえ、国の制度として学校給食費や教材費など義務教育に係る費用を無料にすることを求めるとともに、県として給食費などについて市町村への支援を行う、学用品は学校の備品とするなど、高校を含めて保護者の負担を軽くし、無償化に向けての努力を求めます。教育長の見解を伺います。 また、沖縄県は、就学援助についてお知らせするためのテレビやラジオのコマーシャルを県として行っています。学ぶこと、それは子どもの権利、安心して学ぶ環境をつくるために就学援助制度がありますと、権利だということをしっかりお知らせしているのですね。詳しくは学校又は市町村へというもので、子どもたちの声で「就学援助」とコマーシャルで流れるのですね。これに学び、就学援助などの制度や相談窓口などをテレビのコマーシャルやポスターをスーパーマーケットに貼るなどして幅広くお知らせするべきだと考えますが、あわせて答弁を求めます。 3点目、包括的性教育についてです。 包括的性教育とは、人権教育を基盤に人間関係を含む幅広い内容を体系的に学ぶ性教育です。お互いを尊重し、よりよい人間関係をつくることを目指す教育で、国際的に進められています。 日本財団は、予期せぬ若年妊娠などを減らして、子どもや若者が性に関する学習を通じて生殖や性的行動の知識を学ぶことができ、人権の尊重や多様性への肯定的な価値観を育むことができる包括的性教育の推進に関する提言書を今年8月に発表しました。現状の日本の中学校学習指導要領では、妊娠の経過、性交については取り扱わないとする歯止め規定があり、子どもたちが性や妊娠、出産に関する正しい知識を学ぶ機会が不足しています。 2020年の内閣府の調査では、無理やりに性交等された女性の約6割、男性の約7割はどこにも相談していないんです。性教育を受けていないために、子どものときに性被害に遭った場合に、自分自身が性被害に遭ったという認識が持てない、意味が分からないために継続的に被害を受けてしまうケースもあります。自分を守るためにも低年齢から発達段階に合った性教育が必要だと考えます。 提言書をまとめた有識者会議の委員の一人である自民党の自見はなこ参議院議員、小児科医ですが、この方は若年妊娠や予期しない妊娠は妊産婦自身の身体的、精神的、経済的負担が大きい、生まれた子どもにとっても児童虐待、貧困などのリスク要因で、対策が急務であり、そのためには包括的性教育が不可欠だ、性や生命、家族、社会の在り方に政治が責任を持つことについて、超党派で合意形成ができたと述べています。 この提言の立場に立って包括的性教育に大分県としてしっかり取り組むべきだと考えます。教育長の答弁を伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私からは、子ども医療費の助成についてお答えします。 この制度は、安定的かつ持続的な運営が求められ、地域の小児医療体制への影響にも留意する必要があります。本県では、限られた財源の中で保護者の負担が大きい入院は小中学生まで、通院は受診回数が多い未就学児までを対象とし、所得制限を設けることなく実施しています。 また、本年10月からは、県内の全市町村における中学生までの入院及び通院の医療費助成が実現し、県民の皆さんにとっては他県と比較しても遜色のない制度が整いました。ちなみに18歳の高校卒業年度までの助成を行っている都道府県は、昨年4月時点で5県となっています。 子ども医療費助成は、本来国の責任において全国一律の制度として運用されるべきものであり、本県独自の提言活動や全国知事会などを通じて政府に要望しています。 なお、小学生から高校生までの通院医療費を助成した場合の県の負担は約12億円の増と見込まれます。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。
    ◎岡本天津男教育長 2点についてお答えします。 まず、学校での保護者の負担についてです。 法律及び最高裁の判例によると、義務教育の無償化の範囲は授業料と教科用図書とされています。加えて、生活困窮世帯に対しては、市町村の就学援助制度により保護者負担が軽減されています。 県立高校においては、就学支援金により授業料の実質無償化を図るとともに、生活困窮世帯に対して奨学給付金を支給しています。さらに令和元年度からは、エアコンに係る経費を公費負担とするなど保護者負担の軽減を図っています。 なお、県内全ての市町村では、入学時及び毎年の進級時に児童生徒全員に就学援助に係る文書を配布し、周知を図っています。今後とも、物価高の状況や社会情勢の変化などを踏まえ、公費と保護者負担の在り方について、国や他県の動向も注視しながら不断の見直しを行っていきます。 次に、人権教育等を基盤とした性教育についてお答えします。 性に関する指導については、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じて、体育科や道徳、特別活動など学校の教育活動全体を通じて指導しています。そのうち、妊娠の経過など発展的な内容については、個々の子どもが抱える課題の解決に向けて個別に対応しています。 県では、性に関する適切な指導に資するよう、自己の性別に対する認識や人間関係の側面も踏まえた指導の手引を平成27年度に作成し、活用してきています。また、実践的指導力の向上を目的とした研修会を10年以上にわたって毎年開催しており、子どもを性被害者、加害者にしないために等を内容とした今年度の研修会には教職員ら91人が参加しました。 今後も児童生徒が性に関する正しい知識を習得し、自分や相手を大切にするという価値観に基づき、主体的に考え、適切に行動できるよう指導の充実を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 医療費助成の問題と性教育について再答弁を求めます。 給食費についても今広がっていて、赤旗の調査によると、全国で給食費完全無償化している自治体は豊後高田市など256に広がっています。この問題でも重ねて実現を求めます。 医療費助成についてですが、大分県では12年間改善がなく、さきほど答弁がありましたが、通院は小学校入学まで、入院は中学校卒業までが対象ですが、上限はあるものの、大分県の制度としては1日500円の自己負担がありますよね。さきほど他県に比べて遜色ないと言ったのは、市町村の努力で無料にしているわけですから、大分県の制度を私が言っているのは、市町村の努力に頼るばかりではなくて、大分県としてももっと充実すべきでしょうということを重ねて何度もこれまでも質問してきたように求めているわけです。 お金の心配がない子育て環境が、今、本当に求められている状況にあります。それはアンケートへの声にも表れていて、義務教育は制服、かばん、ランドセル、靴、ノート、鉛筆、給食等は無償にすべきだという声や、子育て支援は大学まで補助してほしいという声、教育費にお金がかかり過ぎるので、若い世代は子どもを育てる自信がないという声、明石市のように子育て支援にもっともっと力を入れてほしいという声、たくさん寄せられています。 パネルを準備しました。資料もお配りしています。(パネルを示す)これは市町村の制度についてですが、子どもの医療費助成を行う市町村数の推移です。2009年と2021年を比較したものですが、2009年のときに高校まで対象としている市町村は2か所でしたが、それが2021年には817まで一気に増えています。中学校卒業までを対象とする市町村は2009年345だったものが832まで増えています。就学前までは980だったものが40に減って、大変多くのところで充実が進んでいるという状況がこのグラフで分かります。 3月の一般質問でも私が言ったように、豊後高田市や明石市など子育て支援が大いに充実している地域では、子育て層がどんどん増え、若い世代が増えて、その方たちがしっかり税金を払っていただくお陰で税収も増えて、その財源を生かして幅広い世代の皆さんの施策が充実しているという状況で大変喜ばれています。子育て支援の充実が地域の活性化につながっています。 今日午前中、知事は人口減少対策について、自然減が8,848人と、減り方が過去最多で自然増は容易ではなく、子どもを増やすことは容易ではないと答弁されたのですが、私はこの明石市や豊後高田市などなど子育て支援が大いに充実している地域の取組に本当に学ぶべきだと思うのです。 子ども医療費無料化について、高校卒業年齢まで入院を含め無料にした場合の試算とその実施について再度答弁を求めます。 一度に高校卒業までが難しければ、段階的にでも県の制度として充実させていくことが必要です。それが子どもを産む人を増やす、自然増を増やす、人口減少対策にとって大変有効だと考えますが、どうでしょうか。 包括的性教育の具体的な取組についても再度答弁を求めます。 有識者会議の一人である尾木直樹氏、尾木ママとして知られていますが、こう言っています。学校で包括的性教育に最優先で取り組まなければならない理由は、性教育は子どもたちの命に関わる基本的な人権問題だからだと、その必要性を強調されています。具体的な取組を進めるためには、まず、この提言についてしっかり学ぶことが必要であり、研修が必要だと考えます。今の性教育では歯止め規定があるので、子どもたち、やはり知識が得られないと考えますが、どうでしょうか。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 子ども医療費を高校卒業時まで拡大したときの入院医療費の試算です。 本県では中学生までの入院医療費を既に助成しているので、高校生分が追加になるわけですが、おおよその試算で約1億円の増となります。したがって、さきほど言ったように、入院及び通院の医療費全てを高校卒業時まで拡大すれば、締めて13億円の増となります。 この件については、議員御指摘のとおり、子育て経費の負担を軽減するということは非常に大事なことで、それが少子化対策にも結び付くし、移住の促進にも効果があるということはそのとおりではないかと思います。 ただ、子育て支援策というのはこれ以外にもいろいろあり、さきほど議員が言われたように給食費の無償化といったものにも莫大な予算が必要になるし、今行っている幼児教育・保育の無償化とか、不妊治療の先進医療費の助成とか、放課後児童クラブの拡充とか、様々な事業とのバランスを考慮しながら総合的に考えていく必要があるのではないかと考えています。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 現時点の指導の仕方ですが、さきほども答弁しましたが、個々の児童生徒の実態から指導が必要と判断したとき、あるいは養護教諭などが相談を受けた場合などに指導を個別に行っていますが、これは個々の児童生徒で発達段階の差異が大きいこと、また、児童生徒や保護者、教職員が持つ性に対する価値観が多様であることによるものです。そういう中ではありますが、学習指導要領では初経や精通などの身体的側面だけではなく、異性の尊重や性情報への適切な対処、行動の選択など様々な観点から学習が行われています。 というものの、児童生徒の実態に応じて全体への指導が必要な場合には、教科等においても発展的な内容について触れることもあり得るというのが実態です。 ○御手洗吉生議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 豊後高田市は、高校卒業までの医療費無料、保育園、幼稚園の保育料完全無料、出産祝い金も大変充実しているという中で、住みたい田舎9年連続ベストスリーということですよね。 いつも総合的な子育て支援をと言われるのですが、そういうことに取り組んできたけど、今日、午前中答弁があったように自然増はなかなか難しい状況に今あるわけですよね。ですから、私が言っているのは、さらに医療費無料化を段階的にでも充実していくとか、給食費の無料とか、そういうことが効果を上げているではないですかと言っているわけですね。それが地域の活性化につながり、それは少子化問題、人口減少問題に非常に有効ではないですかと言っているわけです。 最後にもう一回、知事に答弁をお願いできるとありがたいのですが、こんなに私が強調するのは、子育て支援策が充実していって、子どもを望む人が望む人数の子どもを持てるようになっていくことは、子どもを持たない人、あるいは持てない人、そういう多様な生き方を尊重することになっていくと思うのです。また、包括的性教育の取組も、やはり多様性を尊重し合う社会にしていくために大変大事だと考えています。 そこで、県の大変重要な課題である人口減少対策に対して子育て支援は重要だと、さらに充実すべきだということについて知事の考えはいかがでしょうか、もう一度答弁をお願いします。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 子育て満足度日本一の大分県をつくろうということで、若い世代のお父さん、お母さん方にアンケート調査をしたことがありました。そしたら、理想のお子さんは3人に近い数字でした。現実に持っているお子さんは2人に近い数字でした。重ねて、それはどうして差があるのですかというアンケートをしたら、やっぱり子育てには経済的な負担がかかるからだという話がありました。そういう意味では、猿渡議員が言われるように、子育て中のお父さん、お母さんに医療費だとか、保育料だとか、教育費、いろんなことで応援することは大事なことだと思います。それがまた自然増にもつながっていく、大事なテーマだなと思っています。そういう意味で、我々もできる限りの保育料の支援、あるいは医療費の支援、教育関係の支援等々やってきているつもりですが、県だけではなかなか足りませんから、足らないところは市町村が独自にそれをカバーしているということでやっています。 豊後高田市の話がありましたが、それは県の分と合わせて相当充実したものになっているわけであり、受け取る方のお父さん、お母さんにしてみると、県が出そうが市が出そうがそれだけのものをやってくれれば大変ありがたいということになり、そういった意味で経済的な支援はやっていかなければならない。経済的支援をやるにあたって、県だけではなくて、市町村と一緒になってやっていくことでこれからも担っていきます。 市町村がやっているから県もやるべきだという話ではなくて、市町村と県が力を合わせてやっているというのが現実です。県がやっているから市町村が足らない分を補っていく、全体としてここまで医療費を見ているというようなことができるわけですから、そこのところはどうぞ御理解をお願いします。 ○御手洗吉生議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 そうなんですけどね、市町村にしたら県にもっと応援してほしいと、市町村では大変だから県がもっとやってほしいというのが市町村の立場ですよ。だから、県に求めているわけですよ。県としてのそういう役割を果たさないといけないのではないですかということですね。 初めに述べたように、命の危機に直面するほど暮らしが厳しい状況が広がっています。住民福祉の増進を図るという地方自治体の役割、その発揮が今本当に求められている、重要になっていると思うのです。ですから、そのためにお互いに知恵を出し合い、力を合わせていくことを呼びかけたいと思います。 最後に一言言いたいのですが、今、岸田政権は防衛費を5年間で2倍にするとか、敵基地攻撃能力を持とうとかいう動きを強めていて、これは非常に危険な動きだと思っていますが、そういう中で国の言いなりの大分県ではだめだと常々思っています。県民の暮らしや命は、国の言いなりでは守れないと考えています。そのことを最後に言って、今後ともやはり暮らしを守っていく、福祉増進のために役割を果たすということ、そのために今日言った具体的な施策について充実していただくように重ねて求めて、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で猿渡久子君の質問及び答弁は終わりました。後藤慎太郎君。  〔後藤議員登壇〕(拍手) ◆後藤慎太郎議員 8番、自由民主党、後藤慎太郎です。今回も質問の機会を与えていただいた会派の皆様ありがとうございます。 早速質問に入りたいと思います。 まず、脱炭素社会の実現に向けた取組についてです。 昨年8月から今年4月にかけて、国連の気候変動に関する政府間パネルは、第6次評価報告書を公表しました。昨年8月公表の自然科学的根拠に関する第Ⅰ作業部会報告書では、温暖化の原因について、人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことは疑う余地がないと初めて明記されました。人間活動の影響による可能性が高いや極めて高いという不確実性を残した今までの報告書と異なり、地球温暖化は人間活動によって起こっていることが初めて断言されました。 温暖化による影響により、国内外で深刻な気象災害等が発生しています。地球温暖化の進行に伴い、今後、豪雨や猛暑のリスクがさらに高まると予想されています。昨年8月中旬から下旬は、西日本から東日本の広い範囲で大雨となり、総降水量が多いところで1,400ミリを超え、本県を含め全国的な被害が発生しました。また、豪雨による大規模な災害といえば、令和2年7月豪雨など記憶に新しいものもあります。 このような地球温暖化を抑制するため、国では、令和3年10月に地球温暖化対策計画を改定し、2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていくことが示されました。その実現のために、新たな脱炭素地域の創造や国民のライフスタイルの転換など、カーボンニュートラルへの需要を創出する経済社会の変革や世界的な削減への貢献等に力を入れていくことにしています。 県においても令和2年3月に2050年カーボンニュートラル宣言を行い、取組を加速するとともに、第5期大分県地球温暖化対策実行計画の改訂に向けて動いていると聞いています。 こうしたことを踏まえ、脱炭素社会の実現に向け、今後、県としてどのように取り組むのか、知事に伺います。  〔後藤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの後藤慎太郎君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 後藤慎太郎議員から脱炭素社会の実現に向けた取組について御質問いただきました。 地球温暖化の影響により、言われるように、近年、過去に経験したことのない大きな災害が頻発し、県民の暮らしが脅かされています。脱炭素社会づくりは、正に待ったなしの重要課題であり、県民、事業者、行政が一体となって取り組むことは何よりも大事です。そのため、2050年温室効果ガス排出実質ゼロを表明し、県を挙げて進めていく覚悟を示したところです。脱炭素社会の実現に向けては、現在改訂中の実行計画に基づき、三つの観点から取り組んでいきます。 一つは、温室効果ガスの排出削減です。何よりも大切なことは、ものづくり県大分ならではの取組を進めることです。本県は日本のものづくり産業の縮図と言われています。国内有数の企業がバランスよく立地し、進出企業と地場中小企業が共に発展する厚みのある産業集積を誇っています。一方で、だからと言うべきかもしれませんが、県内総生産当たりの二酸化炭素排出量が全国最大となっていることも事実です。将来にわたって、ものづくり県大分を維持、発展させつつ、脱炭素との両立を目指すには、相当な覚悟を持って取り組まなければなりません。そのため、関係各社と行政、有識者が集結したものづくり未来会議おおいたにおいて、多角的、現実的な議論を深めています。 二つは、エコエネルギーの導入と利用促進です。ものづくり産業の脱炭素化にとって、水素は有望なエネルギーです。九重町では、大手企業2社による豊富な地熱や木質チップを活用したグリーン水素の製造実証が進展しています。また、県内の産学官による水素透過金属膜を活用した水素精製技術の研究開発なども進んでいます。水素に関する技術的なハードルはなお高いものの、その製造から利活用に至る検証を行って、大分県版水素サプライチェーンの構築を進めていきたいと思います。 三つは、吸収源対策です。本県の豊かな森林は貴重な二酸化炭素の吸収源です。吸収力が年々減退している高齢林を積極的に伐採し、そこに成長が旺盛な早生樹を植栽することで、森林の若返りを図り、吸収能力を高めます。 また、炭素を吸収、固定化した木材利用も大事です。現在建設中のAPU新校舎など、非住宅分野での木材利用も進めていきたいと思います。 脱炭素社会の実現は大変厳しい道のりですが、環境と経済社会のバランスを保ちながら、実効性のある施策をしっかりと盛り込んで、着実に取り組んでいきたいと思っています。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。さきほども言われていました、今回、蓄電池とか、それから、パネル、前回に続いて補正予算でまたいろんな措置を取られると思いますが、私はとても重要なことだと思っています。自分自身は農業族だと思って、議員になってから様々な問題を取り上げましたが、農業は環境問題と直結しているものですから、こういった問題をぜひ大分県は進めてほしいと随分前から思っていました。 さきほどの広瀬知事の、あと、猿渡議員の答弁でありましたが、子どもを持ちたい方は、この地球上に子どもを産んで本当によかったと思えるかどうか、そこをすごく私たち大人が責任持ってできる社会にしていかないといけないと思っています。子育て満足度日本一を目指すなら、やっぱり同じく子どもたちが生まれてよかったと、本当にそう思えて、産んでよかったと親たちが思えるような環境をつくっていく必要があると思うものですから、この脱炭素社会の実現は本当に重要な施策なのだと思っているのですね。 アルベルト・アインシュタインは、この世の中から蜜蜂がいなくなったら人類は4年で滅びると、そういう話もしています。2014年、オバマ政権のときに、アメリカの食料安全保障は、蜜蜂とか養蜂家をしっかり育てようと言っているわけです。やっぱりそれだけポリネーター、例えば、チョウや蜂やコウモリとか鳥がポリネーターでいられる環境がなければ、この地球環境は何ともできないわけですから、温暖化は限りなく進むのでしょう。しかし、やっぱり同じく温暖化のスピードを少しでも緩めていくように私たちが取り組む必要があると思っています。 私たちは先月、常任委員会で長野県に行きましたが、長野県は先進県と言われているだけあって、様々な取組をしていました。その中で大事だなと思ったのが、やっぱりお子さんたちに環境教育とか消費者教育をしっかりしているのだなとも感じました。今の子どもたちが大人になったときに、そういった思いを持って大人になると少しは違うのではないかなと思っているし、海のない長野県の方も、やっぱり自分たちのごみが海に行かないように、そういったことも含めて考えられて、そういった運動もされていたし、とても参考になりました。 その中で、触れる地球儀というのがあって、2100年ぐらいまで地球はどういうふうに温暖化が進むのだとかものすごく面白い地球儀を見たのですが、ああいうのはぜひ学校現場に、私は1校に一つぐらい置いてもいいのではないかと思うものでしたので、ぜひ教育長を始め、学校関係者もまた触れる地球儀というのを見ていただければ、あれは学校教材にとてもいいと思いましたので、一度参考にされてみてはどうかと思います。 あとは、林業も、さきほど言われましたが、私は前々から早生樹の育成は耕作放棄地の解消で絶対に、もともと林業は、実がなるものではないと農地から山林に地目変更しろとかがあるものですから、そういうことを関係なしに、荒れてどうしようもない耕作放棄地については早生樹を植えて山に戻すと。そうすると、林業者も山の奥まで行かなくたっていいわけですから、20年、30年先には大分県がそういうのを進めてよかったなと、そう思うと思います。しっかりそういうものをやっていただきたいなと思っています。 そういった問題も含めて、ぜひこれからも大分県が環境先進県であり続けるための政策を皆さんで考えていただければと思います。どうかよろしくお願いします。 続いては、福祉・保健をめぐる諸課題について伺います。 一つ目は、地域包括ケアについてです。 高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、県は地域包括ケアシステムの構築に取り組んできました。就任3期目だった広瀬知事が全国に先駆けて、平成24年度に地域ケア会議を県内に立ち上げてから、今年度でちょうど10年を迎えます。この10年で進んだものは、言うまでもなく高齢化です。総務省が本年度公表した人口推計では、全人口のうち65歳以上の高齢者が占める割合である高齢化率は28.9%、大分県内では33.7%と、実に3人に1人が高齢者となっています。平成24年時点の当県の高齢化率が27.6%でしたので、高齢化の進行が顕著と言えます。 また、令和2年の国勢調査によると、全国の65歳以上の高齢者のうち一人暮らしをしている方は19%と、約5人に1人が一人暮らしです。コロナ禍による外出控えもあり、高齢者の孤立化と孤独化が心配されます。さらに、生き生きとした老後を過ごしていただくため、また、持続可能な社会保障制度を構築するためには、認知症になったり介護が必要となる前段階における予防の取組を充実させることも求められています。つまり、この10年は、単に高齢化が進んだだけではなく、抱える課題が多様化、複雑化したとも言えるのではないかと考えています。 地域包括ケアシステムでは、地域包括支援センターで働く保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャー等が中心となり、地域の医療機関や福祉事業所等と連携して高齢者を支えますが、このままではそうした支え手が不足する事態に陥るのではないかと心配しています。 地域包括ケアシステムの維持のためには、専門人材の育成はもちろんのこと、地域住民やボランティアを含めた多様な主体の参画を促し、力や知恵を結集する必要があると考えます。 全国で手本とされた大分県版地域包括ケアシステムですが、先進県として、今このタイミングで検証と発展が求められているのではないでしょうか。 そこでお尋ねします。10年を迎える地域包括ケアシステムのこれまでの取組に対する総括と、今後どのように発展させるべきかについて知事の考えを伺います。 二つ目は、子ども食堂への支援についてです。 全国で初めて東京都大田区に子ども食堂の名を冠した食堂が設置された平成24年8月から、こちらも10年が過ぎました。NPO法人全国こども食堂支援センターむすびえが公表した調査結果では、令和3年度時点で全国に6千か所を超える子ども食堂が設立されています。当県はもちろん、全国に支援の輪が広がっているということで、心強く感じます。 近年は、新型コロナウイルス感染防止のため、みんなで集まって食事を取ることが難しいなど、食堂としての運営が難しい面もありますが、感染が拡大している時期は、弁当配達に切り替えたり、屋外で食事を取ってもらうなど、現場の皆様の創意工夫により子どもたちに対する支援は継続されているようです。 しかしながら、今般の物価、燃料費の高騰、民間企業の経営悪化に伴う寄附額減少など、子ども食堂を取り巻く環境はさらに厳しさを増しています。子ども食堂は、単に生活が困窮する子どもたちの食料支援の場にとどまらず、子どもたちの第2、第3の居場所として、地域住民と交流できる場でもあります。子ども食堂を舞台に地域と交流し、心の成長を育むことが子どもたちが地域社会で生き生きと暮らしていくことを下支えし、行く行くは社会で活躍する準備につながるのではないかと私も期待しています。 県内の子ども食堂も約100か所にまで増えていると聞いています。そして、その運営もNPO法人によるものや大学生主体のもの、地域の高齢者が集まって運営しているものなど様々で、活動内容も夕食だけでなく、朝食の提供や勉強を教えてくれるところもあります。回数も、月1回のところもあれば、ほとんど毎日開いているところもあるなど、本当に様々です。 このように、地域の実情に応じて活動している子ども食堂の果たす役割について県はどのように認識しているのか、また、今後県としてどのように支援していくのか、福祉保健部長に見解を伺います。 三つ目は、梅毒への対策についてです。 性病の一つである梅毒の感染者数が急増しています。国立感染症研究所によると、今年の感染者報告数は10月下旬までの速報値で1万人を超えました。現在の調査方法になった1999年以降、1万人超えは初めてのことであり、昨年1年間の約8千人を既に大きく上回っています。本県でも状況は同様で、11月1日時点で62人の感染が確認されており、最多を記録しています。 梅毒は早期に発見して治療すれば治る感染症ですが、放置すれば死に至る危険性もあるとされています。原因は定かではありませんが、交流サイトなどの普及で、不特定多数の人と性行為を行うハードルが下がっていることが影響しているとの見方もあります。気がかりなのは、全国的に女性の感染者割合が増えている傾向です。10年前は約5分の1だった割合が、今年は3分の1を占めています。年齢別で見ると、男性は20代から50代と比較的幅広い一方で、女性は20代で半数を超え、20代前半だけで3分の1を占めている状況です。 こうした状況を受け、県としてどのような梅毒への対策を講じているのか、福祉保健部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 初めに、私から地域包括ケアについてお答えします。 高齢者が生きがいを持って、健康で安心して暮らせるように、私は次の二つを車の両輪として地域包括ケアシステムの構築を進めてきました。 一つは、地域ケア会議と自立支援型ケアマネジメントの推進です。本県では、平成24年から全国に先駆けて、全市町村での地域ケア会議の立ち上げに取り組みました。作業療法士や管理栄養士などの複数の専門職が参加し、一人一人の状況に応じて生活機能の改善につながるケアプランの作成を推進してきました。 このようなお世話型から自立支援型のサービスへの転換により、要介護認定率は全国的な上昇傾向の中、本県は平成23年度の20.1%から平成28年度の18.0%へと大きく改善させることができました。あわせて、リハ職が介入した自立支援型短期集中予防サービスの普及を図り、全国で唯一、全市町村で提供体制を整えたところです。 二つは、住民主体の介護予防の推進です。県では、これまで住民同士でめじろん元気アップ体操などの介護予防に取り組む通いの場の普及を進めてきました。その結果、県内2,577か所の通いの場が整備され、その参加率は8年連続で全国1位を維持しています。 こうした取組は、要介護認定率の低下に加え、介護保険料の上昇抑制にもつながったことから、平成30年度には本県をモデルとした国の交付金制度が創設されました。この制度は、市町村の自立支援、重度化防止の取組に対する都道府県の支援を評価し、その順位に応じて交付金を配分するものですが、本県は今年度、全国1位となっています。 こうして発展させてきた地域包括ケアは、高齢者に限らず、障がい者や生活困窮者にも有効です。例えば、杵築市では、高齢者の地域ケア会議で構築した関係機関との連携体制を強化して、全世代型包括支援センターを設置し、8050問題など、複合的な課題について検討する重層的な支援会議を開催しています。また、介護予防により改善につながった高齢者は、困りを抱える方々の地域生活を支える側で活躍していただくことも大切です。 九重町では、多世代交流食堂や住民同士による支え合い活動が広がっており、草刈りやごみ出しなどのサービスでは、認知症の方も担い手として活躍していただいています。 地域包括ケアの先進県として、今後はこのような取組を県内全域へ拡大して、複雑・多様化する課題に対応できる全世代型の地域包括ケアシステムへと発展させていきたいと思っています。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私から2点お答えします。 1点目は、子ども食堂への支援についてです。 子ども食堂は、食事の提供のみならず、学習支援や悩みの相談などにも応じる子どもたちにとって大切な居場所です。最近は高齢者や障がい者なども気軽に立ち寄り、子どもと触れ合う多世代交流の場となっている子ども食堂も増えています。 県では、これまで子ども食堂の新規開設や学習支援などの機能強化へ支援するほか、ネットワーク化の推進等にも取り組んできました。また、運営を支援するため、昨年度、クラウドファンディングを開始し、約630万円を68か所に配分しました。今年度も約540万円の寄附が寄せられており、県内外の多くの方から温かい支援をいただいています。 さらに、更新時期を迎える災害備蓄物資のアルファ米やレトルトカレー、生理用品等の無償譲渡も昨年度から行っています。 今年度は物価高騰対策として、食材費や電気代の上昇分への助成事業を予算化したほか、子ども食堂に食材を提供する市町村社協やフードバンク運営団体等に対し、食品保冷庫の整備等にも補助しています。 今後も子ども食堂に携わる方々の声を大切にしながら、しっかりと支援していきます。 2点目は、梅毒への対策についてです。 県内の梅毒感染者は11月末時点で66人に上り、過去最多となった昨年の60人を既に上回っています。このうち、女性が25人と37.9%を占め、中でも10代から30代の若い層が15人と6割に上っており、全国と同様の傾向を示しています。 このように本県でも増加している梅毒の予防には、正しい知識とそれに基づく注意深い行動が重要です。このため、ホームページ等による情報提供に加え、毎年12月1日の世界エイズデーに合わせ、保健所での特設コーナーの設置や大学等でのリーフレット配布、SNS等を活用した情報発信など、若者への普及啓発に力を入れています。 また、感染拡大の防止と重症化予防には早期の発見が重要です。このため、県内の全ての保健所で常時相談を受け付けるとともに、毎月2回、無料で匿名の検査を実施しています。これらに加え、今後、若い世代を対象に、検索連動型のいわゆるリスティング広告等も活用した、より効果的な普及啓発にも取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。先に梅毒からですが、梅毒トレポネーマというんですかね、細菌感染していくというのですが、場合によっては流産とか死産とかという話も聞きました。新生児がかかったら先天梅毒になるということで、せっかく生まれてきてもかわいそうなので、その辺も含めて、ぜひさきほどの性教育なんかとも大いに関係するところはあると思いますが、そういった問題もぜひ若い層からしっかり必要なのではないかなと思うこともあるものですから、ぜひこれはまた対策をしていただければと思います。 それから、要望ですが、最近はダブルケアや8050問題など、地域住民が抱える課題が複雑化、複合化していることから、生活支援コーディネーターなどと呼ばれる、いわゆるコミュニティソーシャルワーカーたちが活躍しています。支援を必要とする高齢者や障がい者、子育て中の親などに対して、見守りや課題の発見、相談援助、必要なサービスや専門機関へのつなぎをするなど、彼らの課題を解決するための支援を行っています。また、地域の福祉力を高めたり、セーフティーネットの体制づくりを始め、地域福祉の計画的な推進を図るために、関係機関、団体などに働きかけを行ったりもしています。 県でもこのような方々と共に、困り事を抱える方が一人ぼっちにならないように、市町村や関係機関等と協働しながら、高齢者や障がい者、児童などの属性を問わずに、困り事を包括的に受け止める相談支援体制づくりを積極的に進めてもらいたいと考えています。 私が思うコミュニティソーシャルワーカーは、民生委員とか、児童委員とか、そういったのを、例えば、地域できちんと給料も払えるような形にして、市町村とか地域ごとに配置するとか、そういうことをして、民生委員とかも自治会長なんかと一緒になって、一人ぼっちの孤独な方をつくらないと、そういったことを進めていく必要があるのではないかなと思っています。地域の問題も本当に複雑化しているし、社会のこういった様相で、本当に世知辛い世の中になっていますから、そういったことも含めて、地域の課題を解決できる専門家を大分県もつくっていけたらなと思っているので、ぜひコミュニティソーシャルワーカーについては再度検討していただきたい課題かなと思っています。 続いて、いじめ・不登校対策について伺います。 10月末に文部科学省が発表した児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果が出ました。県内の児童生徒の不登校は3,254人で、データのある1999年度以降で最多となったほか、いじめ認知件数は1万476件で、千人当たりでは全国3番目に多い88.2件となったとのことでした。 不登校については、ほぼ増加傾向の状況が続き、千人当たりで小中学校は全国16番目ですが、高校は全国で最も高いという結果でした。要因は無気力・不安、生活リズムの乱れといった本人に関わるものが目立つようですが、教育委員会を始め、関係者が一丸となって対策を講じてきただけに、何とも複雑な気持ちです。 また、いじめについても、一旦減少した件数が再び1万件を超えており、見逃しゼロを目標にした結果かもしれませんが、コロナ禍を背景に子どもたちへの環境の変化の影響が心配されるところです。 こうしたことを踏まえ、いじめ・不登校の現状をどのように分析し、早期対応や未然防止策を含め、今後どのように対策を進めていくのか、教育長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 いじめの認知件数の増加は、コロナ禍で学びの環境が変化する中、各学校が些細なトラブルも見逃さず、子どもを丁寧に見守り、積極的に認知した結果でもあると考えています。 いじめを積極的に認知することは文科省も肯定的に捉えており、本県では引き続き早期発見・早期対応のためのいじめ見逃しゼロを徹底していきます。 不登校について、本県では中学3年で最も多くなる傾向にあります。その多くの生徒が進学するので、高校で見ると、1年時の不登校者数が最も多くなっています。各高校ではこれら生徒に真正面から向き合い、粘り強く丁寧に指導を行っています。その結果、例年、2年後の3年時には不登校生徒数が半減、あるいは年によっては3分の1まで減少しています。必然的に教室復帰率は58.2%となり、全国平均の45.3%より10ポイント以上高くなり、退学率も全国平均を下回っています。 今後とも、いじめ・不登校対策として、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置強化による相談体制の充実や、スクールロイヤーによるいじめ予防授業、公立小、中、高校全校における人間関係づくりプログラムの推進などの取組を進めていきます。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。 一つ教育長に再質問ですが、1年前に起立性調節障がいの方の質問をしたのですが、それも不登校と随分関わるところがあり、その1年前の話でガイドラインの作成をお願いしたところですが、それについてお答えしていただければと思います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 昨年3月に大分県地域保健協議会内に専門部会を設置し、私ども県教育委員会が主体となって、福祉保健部であったり、医師会、小児科医会などと連携して取り組んでいます。これまでに部会を3度開催して、ODに対する基本的な理解、あるいは学校での支援、家庭との連携など、ガイドライン案の作成を進めています。 明日4回目の部会を予定しており、それを経て、ガイドラインは年度内に完成させる見込みです。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。今、今年度内にガイドラインができるということで、ものすごく安心しました。本当に親御さんたちがこの問題が出てから、私の周りも実はうちもだったという方が結構いて、先生も、この起立性調節障がいを知らなかったのですが、学校でやることによって子どもたちのことが分かったという方もいました。なので、本当に現場でずっと待たれているので、本当に一日も早くこのガイドラインのことをよろしくお願いします。 あとは要望ですが、不登校の増加は、教育機会確保法の考えが浸透して、無理に登校させなくなっていることも一つの要因とも考えられます。デジタル教材などによる自宅学習を出席と認める学校が増えており、特に、鳥取県ではこの8月にハードルを大幅に引き下げています。これまで明確な規準がなく、校長の判断に委ねていたところ、鳥取県では不登校生の支援事業の指針を改定し、基本的にICT学習教材へのログインで出席扱いとする方針を示しています。 このように、学ぶ場所を子どもが決める時代が訪れつつあります。ぜひ本県でも柔軟な取扱いをお願いしたく、これは要望でお願いします。 では最後に、交通環境をめぐる諸課題についてです。 本県の重要な交通インフラを担っているバス業界は、コロナ禍、原油の高騰等により、取り巻く環境がより深刻なものになっています。バス利用者の減少という業界の課題は、事業者の運賃収入に直結しており、それにより路線の廃止や減便をもたらしています。これは交通弱者と呼ばれる本来公共交通に頼らざるを得ない方々にとって死活問題です。 路線の廃止や減便の問題は、低賃金、長時間労働などを背景とした運転士不足の問題も一因にあります。これはバス運転士の平均年齢が50代半ばに達していることにも表れており、あと10年もすればバス運転士はほとんどが定年を迎えることになり、このままでは運転士不足によりバス業界は成り立たなくなることが予測されます。 公共交通を守るため、バス業界は国や自治体からの補助金で何とか事業を継続している状況ですが、補助金も無限ではありません。また、バス業界は近年、運賃収入を上げるため値上げを予定しているようですが、昨今の値上げラッシュにより、本来バスを利用しなければならない方々にとって、ますます負担を強いられる結果となることが予測されることから、さらなる負のスパイラルに陥る可能性があると思われます。 本県の交通インフラを、今までも、これからも守り続けることは必須であると思われるため、特に、バス事業を軸に、いくつか交通環境をめぐる諸課題について質問します。 一つ目は、バス輸送における貨客混載についてです。 貨客混載とは、貨物と旅客の輸送、運行を一緒に行う形態のことです。貨客混載は、運送業界、バス業界の双方にメリットをもたらします。運送業界ではトラックドライバーの人手不足の状態が続いており、また、年間時間外労働の上限が規制される、いわゆる2024年問題を目前に控え、輸送体制の再構築が迫られています。一方、バス業界では過疎地の公共交通機関の機能低下や経営状態の悪化が進み、存続が危ぶまれています。貨客混載を活用することで、運送業界は労働力不足のカバーが可能であり、バス業界は運賃収入を得られ、公共交通機関の経営改善が期待できます。 2020年11月に地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が改正され、貨客混載の手続を迅速に行えるようになりました。近隣県の宮崎や長崎でも取り組んでおり、一定の効果を上げています。もちろん運送ルートや積み下ろし場所など課題もありますが、これからの地域公共交通の維持を図っていくためにも有益な取組であると考えます。 バス輸送における貨客混載について、今後の取組について伺います。 二つ目は、利便性を高めた路線編成についてです。 バスの利用者離れの原因として、適切なダイヤ編成になっていない問題や最適なルート選定がされていない問題など、柔軟な路線編成ができていないことが挙げられます。この大分市でも駅南に新しいまちが形成されたにもかかわらず、バス路線は旧来の駅北が中心となっています。例えば、住宅地域から中心部へ朝夕のみ直行バスを運行するなど、まだまだ需要喚起できる余地もあるのではないかと考えます。 そこで考えられるのが、間合い運用です。間合い運用とは、特定の路線、便のために用意された車両、機材を遊休時間に本来の用途ではないほかの路線、便へ流用することです。もちろん一義的には事業者が取り組む問題かもしれませんが、事業者にとって、ダイヤ改正や路線の再編は複雑な手続と経費がかかるものです。まずは県が主導して、間合い運用を用いた実験運用など、利便性を高める取組を積極的に推進し、今後10年、20年先を見据えた県民生活に根を張った柔軟な路線の編成について議論を重ねていく必要があると思います。 また、本県の地域公共交通を担う会社は、主に大分バス、大分交通、亀の井バス、日田バス及びその地域の子会社などですが、事業者が異なる場合、利用者は目的地に行くために乗換えを強いられます。複数の事業者の参入により利便性の向上やICカードの全県での共通利用のほか、事業者間の垣根を越えた相互乗り入れや路線の再編成を推進するなど、今後、柔軟に対応していく必要があると考えます。 今は自動車の運転ができたとしても、これから世代が高齢化していくと地域公共交通が必須となります。今後10年、20年先を見据えた議論が今こそ必要です。人口減少社会を見据え、間合い運用の活用などを含め、利便性を高めたダイヤ、ルートなどの路線編成や事業者間の垣根を越えた路線の再編成などについて県としてどのように取り組んでいくのか、企画振興部長に伺います。 それから三つ目は、デジタル技術を活用した交通安全対策についてです。 少し角度を変えた質問をします。今年の県教育行政において大きな前進となった政策の一つに、4月の県立さくらの杜高等支援学校の開校があります。第1期生として32人の生徒を迎え、卒業後、企業への一般就労を目指し、日々奮闘されていると思います。 1年次も残り3か月となり、この一年の成果を教育関係者だけではなく、保護者、何よりも生徒の皆さん自身が楽しみにしているのではないでしょうか。 第3次大分県特別支援教育推進計画に基づく大分地区特別支援学校の再編整備では、同校の設置だけではなく、県立聾学校の盲学校敷地内への移転開校も今年4月に実施されました。そのため、関係のある市内金池町から東大道、大道地区における障がいを持った子どもたちの通学も経路等が改められたことと思います。 通学そのものが一つの社会経験であるとは思いますが、保護者を始め、関係者は日々心配しながら過ごしておられると考えます。特に、今回の再編のあった一帯は大分市内でも交通量が多いため、地域の皆さんを始め、各校の先生方も街頭に立ち、見守り活動を行っていただいています。こうした方々の心配を少しでも軽減させることも行政の務めではないかと考える次第です。例えば、盲・聾学校寄宿舎近くの顕徳町一丁目交差点は非常に交通量も多く、朝には交通集中により慢性的な渋滞が発生する場所です。障がいを持った方だけではなく、高齢者や金池小学校に通学する児童、市内中心部に通勤する方々と多くの歩行者も利用するところです。こうした交差点には、視覚障がいのある方を誘導する音響信号機が設置されているのですが、夜間から早朝は音が鳴らない時間帯があり、全国的には死亡事故につながった実例もあります。この交差点の安全を高める上で、さらなる取組が必要であると考えます。 警察庁では、この状況を憂慮し、スマートフォンを活用した歩行者支援装置を導入した信号機の整備を行っていると聞いています。障がい者雇用率日本一を目指す本県としては、誰もが安心して住むことができるまちづくりの一環として、こうした信号機などデジタル技術を活用したシステムをいち早く導入し、交通事故防止に向けた取組を強化すべきと考えますが、県警本部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 私からは2点についてお答えします。 まず、バス輸送における貨客混載についてです。 国では、自動車運送業の生産性向上に向け、貨客混載を公共交通運行事業者の新たな収入源とするべき事業として、関係法令を改正し、過疎地域等での活用を念頭に政策を展開しています。既に宮崎県等では交通事業者と運送事業者が連携し、中山間地域において、貨客混載サービスを実施していることは認識しています。 県内でも本年4月から日田市津江地区においてデマンドバスを活用し、農産物を運搬する実証事業が実施されています。 一方で、議員御指摘のとおり、実際の運行ではバス車内における荷物スペースの確保や、荷物を安全に積み卸すことができる適切な場所の確保など、課題もあります。 県としては、県内の交通事業者が貨客混載の導入を検討する際には、運送事業者との連携が円滑に行えるよう支援するとともに、先行事例等の情報提供を行っていきたいと考えています。 次に、利便性を高めた路線編成についてお答えします。 地域公共交通ネットワークについては、市町村域内の路線は当該基礎自治体が、複数市町村をまたがる路線は県がそれぞれ主体となり、交通事業者などと調整し、利便性、効率性の向上に努めています。例えば、日田彦山線BRTでは、沿線住民やJR九州、県及び日田市等で調整を重ね、停留所の数が4倍増、居住区に近いルート、朝夕の通学等に合わせた柔軟な運行などです。BRT開業後も利用者などの意見を踏まえ、利便性向上に取り組んでいくこととしています。 議員御指摘の間合い運用など、柔軟な路線編成についても最適化を図る上で有効な手段と考えますが、実装に至るには運転手の確保などの課題もあります。 こうした中、県主導で運行を始めた大分空港アクセスバス、佐臼ライナーは、事業者の垣根を越えた共同運行を行っており、県南の利用者が乗換えをせず空港まで移動でき、利便性向上が図られている好事例です。 今後とも運行の最適化につながる先行事例やアイデア等が県内各地で導入されるよう、県としても情報提供や関係者との調整を積極的に行っていきます。 ○御手洗吉生議長 種田警察本部長。 ◎種田英明警察本部長 私からはデジタル技術を活用した交通安全対策についてお答えします。 デジタル技術の進展により、交通安全に寄与する装置などの開発も進んできています。そのうちの一つが、御指摘があったスマートフォン等を活用した歩行者支援装置です。この装置は、導入された信号機から歩行者のスマートフォン等の端末に対し、交差点名や信号が青なのか赤なのかといった情報が送信され、スマートフォンから音声で歩行者に通知されるといったシステムです。令和2年に全国で運用が開始され、本年10月末現在で18都府県372か所に整備されているものと承知しています。 本県では導入の実績はないものの、先進県の視察を行うなど、県内の交通状況に即した整備をすべく準備を進めてきています。 今年度は御指摘があった盲学校近くの顕徳町一丁目交差点及び各種イベント等により多数の利用者が見込まれていますJ:COMホルトホール大分付近の大分駅南口広場交差点、この2か所に設置を計画しています。 設置後は関係者の意見や利用状況等を踏まえ、問題点や課題の洗い出しを行い、必要な対策や改善を実施する予定としています。 今後とも新たな技術の実証と点検を行いつつ、デジタル技術等の新技術の活用を視野に入れて、歩行者の交通安全対策に取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。警察本部長が言われたように、できたら僕も行ってみたいなと思いますが、こういう時代ですから、DXとか、いろいろ言うような時代。ほかの県に遅れないように、交通政策もしっかりしていただければなと思います。 今回の私の質問は、いずれにしても、やっぱり大分県で生まれ育った子どもたちが大分県に本当に育ってよかった、そもそも生まれてよかったなと思える県であってほしいなと思うからこそした質問です。学校でいじめなんかが多いという話もありますが、それを大人たちも見逃さないようにして、しっかりその子どもたちをケアしてあげられるような体制をつくっていただきたいとも思いますし、一番最初に言いましたが、やっぱり今生きている私たち大人が、これから生まれてくる子ども、それから、さらにその子どもとか、子どもたちのためにも、今いる大人たちがちゃんとしていたから、何とか環境破壊も進まなくてよかった、それから、環境政策もしっかり取り組まれたというような大分県であってほしいなと常々思います。 農業をしていたから感じる環境問題がやっぱりあり、最近、僕は蜂のことしか言わないとずっと言われるのですが、それだけ蜂は環境問題と直接リンクしていたのですね。蜂の巣箱を見てみると、本当に蜂は偉くて、社会性昆虫ですから、どこに蜜があって、どこに飛んでいったらいいと、それから、外来種のスズメバチが来たらこうやって倒すのだとかをみんなで考えているので、本当にすばらしいなと思って、本当に僕も巣箱の点検をするたびに、人間も蜜蜂みたいになれたらいいのになと本当に思うのですね。今、都市養蜂といって、まちで養蜂をする方が増えているのも、恐らくそういった蜜蜂なんかの社会性昆虫としての活動を見ると、きっと安心するような、そういうものを感じるのではないかなと思います。 今、東京都心ではそういった都市養蜂もあるものですから、いつの日か、ぜひ県庁の屋上でも蜜蜂を飼って、社会性昆虫はすばらしいというところも含めて、環境問題を考えていただきたいと思いますし、蜜蜂が取ってきた蜜なんていうのは、ぜひいつの日か知事も巣箱で食べられたら、これだけ環境があるから私たちが生きているなというのを感じていただけると思います。ですから、人間のことも肝腎ですが、私たちが生きているのは、そういった環境問題があってからこそだというのをぜひ皆さんと一緒に考えながら、この環境問題、大分県の問題を一緒に考えられたらなと思って、いつもこういう質問をしているので、ぜひこれからも大分県のために皆さんに頑張っていただきたいと思います。 ということで、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で後藤慎太郎君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りします。本日の一般質問及び質疑は、この程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。  ------------------------------- ○御手洗吉生議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○御手洗吉生議長 本日はこれをもって散会します。     午後2時59分 散会...